HOME > 国際放送(BCL)・トップ > BCL雑記・トップ > 002

002 KAYSの英語国際放送周波数調査とは?

2004年3月7日(2008年3月30日加筆訂正)

別サイトに公表していたものを加筆訂正しました。
 

年に2回、恒例の調査風景。
時間との闘いのため、こうして2台の受信機を並べて同時に聴いたりします。 

 

 今回は当サイトの人気(自画自賛!)ページ、英語国際放送周波数調査についてのお話しです。

 一年に2度、世界的な短波放送の周波数変更にあわせて、私も年に2度、集中的に短波放送を聞き、英語放送の周波数を調べてアップロードしています。なぜこんなことを始めたのでしょう?

 かつて、「BCLブーム」と呼ばれて短波放送が少年たちの人気を集めていた頃は様々なラジオ関係の雑誌が発行され、周波数の情報はそこかしこにありました。それを参考にしながらラジオ少年たちはダイヤルを回していたものです。ところが、そうした雑誌が次々と廃刊したり、あるいは短波関連記事の掲載をやめたりして、新しい周波数を調べることが次第に難しくなってきました。

 私自身、子供の頃から短波の英語放送を聴くことが大好きな人間です。そうして「放送」を通じて英語を勉強し、それが高じて仕事も得たということもあり、私の生活には英語短波放送は欠くべからざる存在なんです。

 最後まで頑張ってくれていたのは月刊誌「ラジオ・ライフ」とKDXC(Kanto Dxers' Circle)の機関誌「Callsign」でした。両誌とも英語放送の時間別スケジュールを掲載してくれていたのです。ところが、1990年代に入り、まるで示し合わせたかのように相次いで掲載をやめてしまいました。また、日本BCL連盟の機関誌「My Wave」でも英語放送のスケジュールは掲載されますが、ごくわずかの放送局をカバーしているだけでした。

 これにはコタエました。どうしよう・・・?

 で、そのときに至った結論が、「じゃ、自分で作るしかないな・・・」というものでした。「やむにやまれぬ」事情だったんです。それから、年に2度、自分で調査した上でデータをA4サイズの紙に印刷してリグの横に置くというのが習慣になりました。使っているシステム手帳にも周波数を印刷したページを入れて持ち歩きました。(^_^;)

 その後1998年になって、インターネットのホームページ作りが我々の友人の間ではやり始めたのをきっかけに、私自身もホームページを持つことを考えます。そのコンテンツを考え始めたときに、即座に、この英語放送のスケジュールをコンテンツにすることを思いつきます。(ところで余談ですが・・・、初期のインターネット利用者の方には、日本で最初のWEBページの一つ、NTTのページにNHKの短波国際放送「ラジオ日本」のスケジュールが掲載されていたのを覚えていらっしゃる方があると思います。あれは当時のNTTのインターネットの研究員の方が熱心な短波放送のファンだったことから実現したものだそうです。日本ではインターネットと短波放送が最初に幸福な出会いをしていたのですヨ。)

 自分がこれほど必要としている情報ならば、きっとほかにも欲しい人がいるに違いない!そう思いました。それまでインターネットで情報を得るだけで発信できない自分にちょっぴり愛想がつき(本来インターネットは「ギブ・アンド・テイク」の世界なのですから)、なにか他人の役に立つことをしたいという思いもありました。しかもコンテンツは毎年2回、かならず自分で作ってパソコンに入れているのですから、それをそのまま利用できます。また、東京での調査でも、短波放送の場合、日本全国、他の地域で受信してもそれほど大きな違いは生じませんから、北海道の人や沖縄の人もデータを利用できるはずで、どこからでもアクセスできるインターネットに掲載する意味があります。

 そこで、1998年に11月にこのサイト、「KAYS」をまずオープンし、翌1999年の1月に最初の英語放送スケジュールを掲載しました。ただ、自分自身は短波受信に関しては20年以上にわたり常に常連局を聴くだけのいわば初心者レベル。BCLの大先達、例えば山田耕嗣さんのようなしっかりとした調査はとてもできません(そうそう、かつて「ラジオの製作」誌で掲載されていた山田さんの充実した利用価値の非常に高いバンドサーベイ記事はその後「アクション・バンド」誌などで発表されていましたね)。そこで、WEB掲載に当たり、調査の基本的な考え方として次のルールを決めました。

 ・我が家のようなひどい受信環境の中でも比較的良好に受信できる放送波を選び、DX的な放送などは受信できても割愛する(ま、自分のレベルではDXは受信できないでしょうが・・・(笑))
 ・電波の実際の受信強度や混信の状況など、詳しい情報は掲載しない
 ・年に2回の周波数変更以外は基本的にフォローしない
 ・宗教の色合いが濃い放送は自分自身が興味ないことから割愛させてもらう
 ・毎正時(毎時00分)に始まる放送をチェックし、それ以外の時間に始まる放送は基本的には割愛させてもらう

 割愛、割愛、割愛・・・と、実にいい加減な調査ですが、その程度でないと、自分のズボラな性格を考えて、とても長続きできないのでは?と思ったのです。

 その代わり、調査は24時間としました。実は私は現在の仕事、そしてその前についた仕事でも、夜間に勤務するということが結構あります。すると、深夜自宅に帰り、ご飯を食べて、風呂に入ると、午前2時か3時。それから自分の時間ができるとういこともしばしばです。その時間から朝まで英語放送を聴くことが意外とありました。つまり、深夜に英語放送を楽しみにしている人もきっといるはずだという自分自身の経験からの思いがあるんです。もちろん、自分の体力が続かなくなれば24時間調査も時間を短縮せざるをえないのですが・・・。

 さて、そうして実際にホームページに掲載し公開してみると、思わぬ広がりを持つことになりました。まもなく、私の拙いページをご覧いただいていた上記「KDXC」の方から英語放送の周波数調査を共同でしないかとの話をいただきました。「Callsign」誌での英語放送のスケジュールはその熱心な運営委員の方のおかげでちょうどそのころ復活していたのです。そこから私のKDXCとのつながりもできて、「Callsign」誌の休刊後、そのサークルが新たに設置したWEBページのお手伝いもすることになります。

 こうして、我が「KAYS」の重要メニューとも言えるWEB版英語放送スケジュールは、このまま順調にいけば来年(2009年)1月で10周年を迎えることになります。年々勤務先の仕事が厳しくなってきて(ここ数年、一人一人の仕事量が格段に増えてきたのです・・・そろそろ限界だと思うのですが)、疲れて自宅に帰ったりすると、調査をする気力もなくなることが増えました。おまけに、我が家の短波放送受信の環境も原因不明の生活ノイズの増大で厳しくなるばかり。年をとったせいか、調査の上での「ポカ」も増えます。

 それでも、時折、私の英語放送スケジュールを「プリントアウトして使っているヨ」というメールをいただくことがあり、やっていて良かったなぁ・・・と思うこともしばしばです。雑誌などで名前をよく知っていたアマチュア無線の世界で有名なOM(無線用語で「大先輩」の意味)さんから突然メールをいただき、「入院中、病院ではコンピューターが使えずに短波ラジオが唯一の慰めだった。そのときにプリントアウトして持ってきたKAYSの周波数リストが役に立った」と書かれていたときには、おもわず、感激して空を仰いだりしてしまいました・・・。OMさん、ありがとうございました。(^_^)

 さらに、最近では定期調査以外の時期の周波数変更をメールで教えてくださる方がいたり、アップロードしたデータの間違いを指摘してくださる方もいらっしゃって、とても助かっています。

 ところで、こうした調査を「仕事」にしている人たちがいます。いわゆる放送局のモニタリング部門というのがそれで、世界的に有名な大規模なものとしては、イギリスのBBC、アメリカのIBBなどが実施していますが、それ以外にも、ドイツのDWなど主要放送局は規模の大小はあるものの、実施しているところがあります。



首都オタワの郊外にあるRCIの「Monitoring Station」です。
短波受信愛好家にはまさに夢の職場・・・。

 私自身、ずっと昔の話ですが、実はカナダの国際放送局、ラジオ・カナダ・インターナショナル(RCI)のこうしたモニタリング・ステーションを訪ねたことがあります。RCIの名ホストとしておなじみだった Ian McFarland さんと知り合いだったため、彼のご好意で連れて行ってもらいました。訪ねてみると広大な敷地にアンテナが何本もたち、敷地内の小さな建物で6人の職員が3交代制で24時間、ラジオ放送をモニターして、信号強度などの記録をとっていました。Racal の高級な業務用受信機を使い、モニターしている姿をとてもうらやましく感じていました。だって、大好きな短波放送の受信が仕事だなんて・・・!よく趣味が仕事になると楽しくなくなるとは言いますが、スタッフに尋ねてみると「いや、やっぱり楽しいよ。自分には天職だと思うよ」との答え。日本にもこんな仕事があればいいのにと本気で思いました。ちなみに日本のNHKにはこうした部門は現在はないようです(かつてはNHKにも「外国放送受信部」という報道での利用目的のモニタリング部門がありました。ラヂオプレスのような存在ですね。そうそう、脚本家の香取俊介さんが書かれた「もうひとつの昭和〜NHK外国放送受信部の人びと」(1994年講談社刊)という興味深い本もあります)。

 さて、近い将来のエッセイでは、実際に「A04(2004年夏スケジュールのこと)」の調査の様子をご紹介することにしましょうか?


次ページ

TOPへ

KAYSトップ

inserted by FC2 system