06.2010年 手術1ヶ月前検診 2 色々と質問
KAY1によるとうっすらと黒目が白いというのですが…。
ほどなく診察室に通されました。「おはようございます」と挨拶し(いままでは朝から待ってもドクターにお会いするのは昼すぎてから。「こんにちは」でしたねぇ…。なんとなく新鮮!)、すぐに面談。まず手術そのものへの同意書と承諾書。さらに多焦点レンズ使用の同意書を提出します。その際、同意書の文言で一つだけ気になっていたことを尋ね(手術の状況によって多焦点を単焦点に変更する場合があるという項目でした)、その場で判子を押して先生に渡します。
また、Bクリニックからの書類もお渡しします。「これは返却の必要がありますか?」と問われました。そーだったんですね。この病院では必要とあれば、書類は返してもらえるのです。「いえ、コピーを取っていますから大丈夫」。
さて、用意してきた紙の質問票を見ながらいくつか質問を。Aドクター。以前の印象&見立て通り、誠実に一つ一つの質問にしっかりと答えてくれます。簡単にKAY2の用意した質問とその答えを。
Q1
眼軸長データがないというのはどれだけマイナスなのか?
A1
これは、いままでの受けていた印象と異なる答えでした。
「あればいいという程度」だそうです。つまり、それほど決定的にまずいワケではないということです。ただ、レーシックを受けたこと自体ですでに、白内障の手術で良い結果が出る確実性は薄まるということだそうです。特に多焦点の場合は度数に関してはクリティカルになっているので、ちょっと合わないということは頻繁におきるそうです。眼軸長データがあっても、結局、良く見えないという結果になりやすいと…。
Q2
眼軸長は普通とらないものなのか?
A2
さきほどの検査技師の方と同じ答え。クリニックの考え方によるとのこと。
Q3
どのくらいの確率で度数は合わない?
A3
これは答えにびっくりしました。
「レーシックをやっている場合で多焦点レンズを入れる場合、4割程度はうまく見えないと思ってください」ということです。これはやはり「一か八か」という感じでしょうか。
うーーーん、こんなに高い数値なんですね。
Q4
片目だけ多焦点レンズを入れた場合の順応の問題点
A4
これ、時々ネットでも見かける話なんですが、片目だけ多焦点をいれた場合の問題点です。多焦点を入れると近くと遠くの両方がピントのあった状態で網膜に同時に映し出されます。そのピントの合わせ方というのは脳で処理しなければなりません。一方、手術をしないもう片方の目は本来のやりかたで、毛様体の収縮によってピントを合わせる。この二つの合わせ方がうまく共存していけるかという問題です。
Aドクターの話では、手術後検査すると、数値上はきちんと見えているはずなのに「よく見えないんです」とおっしゃる方が多いそうです。新しい見え方に対してなかなか慣れない。
この多焦点のレンズ独特のピントの合わせ方、慣れるしかないそうです。
10代とか20代の人はすぐに慣れるそうですが、高齢者になればなるほど合わせにくいそうです。で、慣れるまで日常生活に不便なので眼鏡をかけちゃうと…ますます慣れない。めがねは我慢して慣れるしかないというのがドクターのお話です。2、3ヶ月とか、慣れるまで数ヶ月はみておいたほうがいいそうです。
Q5
ハロ、グレア、スターバスト(いずれも光を見たときのにじみ感などの感覚)など、今よりひどくなる?
A5
KAY2はすでにレーシックを行っています。その後遺症として上記の現象は軽いですが出ています。また白内障手術、特に多焦点レンズの場合、やはりこの問題が生じると言われています。Aドクターに「ますますひどくなるということはありますか?」と尋ねると、これも明快です。
「あります」
Q6
手術後、レンズの取り替えはできるのか?
A6
実はKAY2、この質問には興味津々でした。もちろん、多焦点レンズの度数が大幅に合わなくて、再度のレーシックでも解決できそうもないという場合を考えるとこの質問になるわけですが、それ以上に、レンズそのものに興味があったんです。
というのも、白内障手術で入れるレンズ。ごくごく小さな切開した部分から入れるため、最初は折りたたまれた状態になっています。それを水晶体内に挿入して広げるんです。今度、もしもそれを取り出すとなるとまた畳むの?と思うじゃないですか。
答えはシンプル。「切ってばらばらにして取り出します」
なぁるほど。そんな簡単な事には思い至りませんでした(笑)。
で、取り替えはできるそうです。ただ、白内障手術そのものが、実は後述のように目には負担を強いるものですので、何度も行うことは好ましくないようです。
Q7
レンズが曇ることはないのか?
A7
以前あったそうですが、その後素材が変わり、現在のものでは、そういった報告はないそうです。
Q8
A6に書いたように、何度もできる手術ではない。と言う言葉が出てきました。事前に読んだ本にも。
角膜には内皮細胞というのがあります。これが1回の白内障手術で10%くらいは失われるのだそうです。しかも、この内皮細胞、再生しません。失われたらそれっきりなんです。ということはレーシックをすでに受けているとすでに10%くらいは失われているということ?
A8
この質問には「いいえ、レーシックでは内皮細胞は失われません」とのことでした。ま、いずれにしても、眼内レンズの度数が合わないからと言うことで取り替える手術をすればそれだけ内皮細胞が失われるので好ましくないということなのでしょう。
Q9
レーシックを受けた後の白内障手術ってまだほとんどないんでしょうか?
A9
これは意外です。Aドクターの答えは、
「かなり増えています」
レーシック手術も日本で認可されすでに10年。僕らの想像以上の人が受け、その後白内障の手術を受けている人も相当数になっているそうです。ただ、一言興味深い言葉が。
「レーシック手術の件数は年々着実に増えているんです…あ、昨年だけは減りましたけどね」
なるほど。「銀座眼科」事件のせいでしょうか…。
Q10
最後にもう一つ。どのくらい手術には時間がかかりますか?
A10
現在KAY2の白内障は白濁がかなり進み、堅くなっているそうです。したがって、吸い出しに時間がかかり、通常は10分で終わる手術が15分程度になる可能性が高いとのことでした。
白内障、どの段階で手術をするのかというのは大きなポイントです。
早い段階であれば超音波を使っての破砕(乳化)、吸引が楽です。
ただ、KAY2の場合には「レーシック後の白内障手術の症例が増えてから受けた方がいい」というG眼科で受けたアドバイスに従ったつもりでした。その結果、視力が0.1に落ちるまで待っていたことになります(ここまで急激に落ちているとは思っていなかったのですが)。が、例えば大手の病院のガイドラインなどでは視力が0.6以下でGOサインとしているところもありますし、そういった所でも職業上の理由で(運転手さんとか)もっと早く(例えば0.9であっても)受けるのを認める場合もあるようです。
こうしてみると、KAY2はちょっと待ちすぎたかもしれません。おまけにこうした病院では手術を受けたい!と思って受診しても実際の手術は半年後ということもあります。
でも確かにここ数年で症例が増えたわけで、G眼科で受けたアドバイスに従った意味はあったかもしれません。
KAY2のように急速に白内障が進む場合は悩ましいポイントでした。
さて、聞きたいことに対して、十分答えていただきました。言葉を選びつつ一生懸命答えようとしてくださる誠実な人柄に「うん、この先生なら全部お任せしても大丈夫だろうなぁ」という気分になってきます。もちろん、技術力というのはまた別の尺度で見なければならないのでしょうけれど(Aドクターは技術力も非常に高いということは別の筋から聞いていたのでその点は安心でした)。
ドクターと患者の信頼関係というのは何よりも大きいと思います。特にこうした、やっかいな状況での手術で、良い結果の出る確度が低くなるということがわかっている場合には。
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ご注意:
この体験記の中に登場する医師名と病院名はイニシャルではなく、レーシック体験記から登場順のアルファベットです。
また、医学は日々進歩しています。ここに書かれたことは2010年春現在の記録です。その点、ご注意下さい。
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