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17.手術翌日検査
この状態だと、すれ違う人、みんなギョッとした表情になります。
昨夜はやはり眠れず、何度も目が覚めてしまいました。特に包帯をつけている目の周りがかゆいのが気になります。さりとて直接手をあてて掻くわけにもいかず。さらに、飲んでいる抗生剤の副作用で、お腹が猛烈に「ぐるぐる」と音を立てています。それでも6時過ぎまでベッドで横になっていました。
起き出して朝食のバナナを食べて、薬を飲みます。昨夜抗生剤の影響から激しい下痢をしていたので、今日はいつものトイレは小のみ。
その後、予約していたタクシーに乗り、病院に。KAY1が昨日、待ち時間に病院で読んだ本(「老けるな!」)に、「ここぞという時にはタクシーに乗っても良い」と書かれていたそうで、そのせいか、こんな贅沢を許してくれたようです。ただ、片目が見えず、足下がおぼつかないKAY2を満員の通勤電車に乗せるのは、さすがに酷だと思ったのかな…。
KAY1はKAY2の右隣に座ります。すると、KAY2の方から彼女が全く見えないんです。そっか、右目が見えないとこうなるんだぁ…と、あらためて片方の目しか見えないことの影響の大きさを思い知ります。会話をしながらも何となく、相手の表情が目に入らず不安。
さて、奇跡的に道路もそれほど込んではいず、病院まで30分ほどで到着しました。途中、包帯で覆った目が気になります。強制的に目を閉じている形で包帯がつけられているのですが、さすがにつけて時間がたってきたせいか、少しゆるみ、目が少しだけ開くのです。そうなるとイケマセン。外を見てみたい!そんな誘惑に駆られ、そのたびに、「ダメダメ」と自分に言い聞かせます。
さて、病院の建物に入り、自動受付記にカードを通すと、眼科での整理番号は1番!やった!!
診察までにはまだまだ時間があるので、病院の敷地内にあるスターバックスに入ります。
病院はJRの駅のすぐそばにあります。スターバックスから見ていると、駅と病院との間にある信号が変わるたびに物凄い数の人々が病院に押し寄せます。時間はまだ8時過ぎ。病院に通勤する人と通院する人とでごった返します。
ふと、目に当てた包帯。少しずらすと外が見えることに気付きます。KAY1にばれないようにそっと動かしてみると…、きらきらと明るい朝の陽光が目に入ってきます。そして、外に止めてあるクルマのナンバー…あ、見えます!!ちゃんと読める!!「こら、KAY2、何してんの!」との声にあわてて包帯を元に戻しますが、同時に、「あのね、ちらっと見たけど、どうも、ピント、合っていそうだ」。思わず笑みがこぼれてしまいます。
さて、診療の部屋に向かいます。途中で例の目を何度もつついてくださった可憐な検査技師さんにすれ違います。今回、もしも良い結果が出たとしたら、あれほど、何度も念のために検査していただいたおかげもあるでしょう。さきほどチラッと目を開けてみた感じから、うまく行っていそうとの感触から、すでに、心の中は感謝!です。
病院内でいろんな人にすれ違いますが、皆さん一様にKAY2の顔を見ると「ぎょっ」とした表情を浮かべます。巨大なガーゼを目に付けているというのは異様なんですねぇ。思わず追いかけていって「ねぇ、このガーゼの中身、見たいぃぃぃぃぃ?」とお茶目に声をかけたくなってしまいます。「口裂け女」伝説を思い出します。(笑)そう話すとKAY1、冷静に「この変態オヤジ!警察に通報されるよ!」 うーん、うるおいのない答えだ。(-_-;)
診察室外の廊下で待ちます。隣には昨日、KAY2の直前に手術を受けていた高齢の女性が座っています。すでにガーゼを取っており、右目と左目に手を当てて、それぞれの見え方を試しているようです。
やがて、検査室から声がかかります。例の可憐な技師さんです。「あ、先日は色々とご迷惑とご心配をおかけしました。あの後は大丈夫でしたヨ。すみませんでした」と声をかけておきます。「いえいえ。どうぞ、こちらに座ってください」
で、まずは包帯を外します。ゆるんでいたとはいえ、とても簡単には外れないようになっており、相当な力でテープをめくり、やっと全部がとれました。
その瞬間…。
一瞬、まぶしさで右目がくらみます。部屋の中がぼやけて見えます。
で、何度か瞬きをしてみると見えます!!!
昔、こんなドラマのシーンがよくあったじゃないですか。
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殺風景な病室。
ベッドの上に一人の可憐な少女が不安げに座っている。
少女の顔、片方の目には包帯が巻かれている。
少女を囲むように、威厳のある、背の高い眼鏡をかけた医師。物静かで美人の看護婦。そして看病に疲れ果てた少女の母親。
医師がゆっくりと包帯を解く。
包帯が取れ、少女がゆっくりと目をあける。
「先生…、あ、見えるわ!見えるわ!!」
少女の目から涙が。そして、そばにいる母親が顔を埋めてむせび泣く。
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現実には主人公が可憐な少女でなく、脂ぎった中年男ですみません。
でも、感動は同じ、こんなによぉく見えるなんて!
そしてすぐに視力測定と眼圧測定。
遠方視力はなんと1.5出ています!
そして、近方視力は1.0。
なによりも右目から見た世界の明るさにびっくりです。
「いやぁ、良く見えますねぇ!ありがとうございます!」と、検査技師さんに喜びを伝えてしまいます。
で、再び部屋の外に出て、待ちます。KAY1が「どうだった?」と聞いてきます。
「うん、かなり良く見える。そして明るい!」
念のため、遠くにある文字を見てみます。手術をしていない左目は2.0ありますから、さすがにそれよりは少し劣りますが、壁に貼ったポスターなどの文字はしっかりと見えます。そして、近くはどうでしょう。手術をしていない左目は相当に老眼が出ていますので、30cmくらい離さないと文字が綺麗に見えません。が、手術をして多焦点レンズをいれた右目…。それよりも近く、15cmから25cmくらいまでが良く見えます。それ以外はピントがあいません。こんな感じです。つまり、左目よりもより近くが見えるようになった。そういう事です。
そこでAドクターに呼ばれます。
「先生、ありがとうございました!よく見えます!」
すると
「思ったほどずれなかったですねぇ」との答え。
そっか、やっぱりレーシック後の多焦点レンズ挿入、結構ずれると覚悟していたんだなぁと改めて理解します。それに「思ったほど…」ということはもっと完璧をドクターは目指していた?
「痛みとかも大丈夫ですか?」
「はい、多少ごろごろする感じがある程度です」
「あ、じゃ、良かった」
ってな感じですぐに目を見ていただきます。「綺麗になっています。大丈夫ですね」
ということで、次回は1週間後の検査ということになりました。
興奮気味のKAY2は思わず「先生、人生でこれほど感激した事って、そうそうないです!本当にありがとうございました!」
なんだか先生もニコニコして嬉しそうでした。
この日はさらに質問を4つばかし。
Q1 花粉症の目薬でリザベンというのを使っていましたが、手術をしていない左目に使用しても大丈夫ですか?
A1 大丈夫。右目にも使用して大丈夫ですよ。ただ、右目には1日3回さす目薬のうち1種類が同じ効用を持っていますから必要ないですが。
Q2 飲み薬でいただいている2種類の薬のうち、痛み止めのクリノリルはいただいた全量のまなければいけませんか?
A2 今の目の状態を見ると、必要ないとご自分で思われたらいいです。ただし、もう一種類の抗生剤はかならず最後まで使用してください。
Q3 目薬はいつまで使用しますか?
A2 しばらく入れ続けてください。場合によっては数ヶ月続ける場合があります。今後の様子を見て指示します。
Q4 以前父親が白内障の手術をしていたときに下を向いてはいけないと言われていましたが、今はどうですか?
A4 下を向いても大丈夫ですよ。
と、こんな感じでした。
会計を済ませて外に出ると、いい天気なのも相まって、風景の明るさに心がうきうきしてきます。そう、世の中はこんなに明るかったんだ!帰りは病院横のJR駅から電車でと決めていましたが、あまりの気持ちよさに、少し遠くの地下鉄の駅まで歩くことにしました。持ってきた目を保護する眼鏡をかけます。そして道すがら景色を眺めると、やはり遠くの文字も良く見えます。
ああ、よかった!なんて幸せなんだろう!
さて、現在の見え方について、もう一度まとめておきますね。
遠方:
左目:2.0 完璧に遠くが見えます。
右目:1.5 看板の細かい文字はややぼけますが、通常の視力としては十分な見え方です。
近方
左目:本を読もうとすると50cm以上離すと完璧ですが、30cmからの距離からはどうにか読めます。
右目:本を読もうとすると25cm前後がベストですが、20cmから40cmの距離であればどうにか読めます。
その結果、両目では
遠くはほぼ違和感なくそのまま裸眼でよく見えます。
近くは25cmくらいから50cmくらい、裸眼で本や新聞を読めます。
ということで、どうやらよほど細かい文字や暗い場所でない限り、眼鏡は不要となりました。
で、それ以外の見え方の質についてお話ししておきます。
実は一番びっくりしたのは明るさと色。
手術を受ける前は右側は黄色くかすんでいました。白内障特有の現象です。で、左目は正常。
ところが、手術後は逆に右目が黄色く見え、左は白っぽく、やや青っぽく見えるのです。そして明るい。
一つには左目も年相応の白内障が始まっていることもあります。こちらは右目とは違い、ゆっくりと進行していますから、今から20年後、30年後に手術を受けるようなものです。で、右目はいままで黄色の膜がかかっているのに脳が慣れてしまっている関係で、それが取り払われたため、逆に青みがかって見えるという現象が起きているようなのです。
室内に入ると蛍光灯が白い「白色」のはずが青っぽい「昼光色」に見えます。また、白い紙を見ると、右目はより白く、わずかに青みがかって見えます。
で、これは白内障の手術を受けた人が多かれ少なかれ経験する現象なので、心配はありません。が、慣れるまではしばらく時間がかかるでしょう。
さて、夜になって電球の下ではどうでしょう。これはとたんに右目、見えにくくなります。両目で25cmから50cmほど離して読めていた同じ新聞も文字がかなり見えずらくなり、これは老眼鏡が欲しくなります。+1.5の老眼鏡でちょうどよく見えるようになりました。全く見えないわけではなく老眼鏡の補助があればちゃんと見えるのでホッとします。
また、さらに暗く、寝室で常夜灯だけになると、これは相当右は暗くなります。もちろん、遠くのピントは合っています。なるほど!こういうことだったのかと事前に受けた説明通りであることに納得します。
さらに、スターバスト、ひどくなりました。蛍光灯からかなり長い光が上下に広がります。もともとレーシック手術をしてスターバストはあるのですが、それが数倍になった感じです。ふむ。これも説明通り。夜間クルマの運転をされる方は要注意ですねぇ。
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ご注意:
この体験記の中に登場する医師名と病院名はイニシャルではなく、レーシック体験記から登場順のアルファベットです。
また、医学は日々進歩しています。ここに書かれたことは2010年春現在の記録です。その点、ご注意下さい。
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