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007 大人の科学〜真空管ラジオ
学研

2006年5月23日

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話題沸騰の大人の科学〜真空管ラジオのパッケージ
小さいです。

 学研の「大人の科学」をご存じでしょうか?

 子供の頃「科学」という雑誌がとても人気ありました。その付録として様々な科学実験のための道具がついてくるのですが、それが実に魅力的なのです。あるときはゲルマラジオだったり、あるときはカメラ、ある時は化学実験セット・・・。
 その「科学」で育った子供も今や立派な中年です。そうなるとその世代がノスタルジアでまた同じようなものを求めたくなるのもむべなるかな・・・と言えます。しかも、子供がいれば、一緒に楽しみたい!と思うかも・・・というわけか、学研が数年前からシリーズで大人向けのグレードアップした実験企画を出しており、それが、結構な人気商品となっているのです。

 で、今まで鉱石ラジオや復刻版「電子ブロック」など、自分も買っていたのですが、この5月発売の企画は「度肝」を抜かれた方も多かったのでは?

 「真空管ラジオキット」

 なのです。

 嘘でしょ?と思わずつぶやいてしまった私。いまどきどうやって真空管を手に入れるのでしょう?手に入れたとしても超高級キットになっちゃうでしょうに・・・。

 ところが、さすが学研さん、中国で大量のデッドストックを発見して、キットを量産してくれたのです。とはいえ、限定生産。自分が買った直後、すぐに販売完了に。間に合ってよかった・・・。

 で、ご存じのように我が家はノイズの多い環境。とても楽しめないだろうと思い、箱を眺めながら2週間そのままになっていました。実は5月下旬、東京を離れて山の中で1週間生活する予定があったのです。そのときに持ち込んで作ってみようと考えていたのです。

 で、せっかく時間があるので、それまでにインターネットなどで情報を集めてみることにしました。

 すると、すぐに多くの製作記録のページがみつかります(大いに参考になりました。ページの制作者の皆さん、それぞれの名前を挙げませんが、本当にありがとうございました!)。そして、それによると、キット製作には2つの典型的なつまずき(ハードル)があるらしいのです。
 
 一つは周波数の調整に使う部品で2枚の金属板があるのですが、それにブルーの保護膜が張ってあります。そのうちの一枚ははがすのですが、もう一枚は「そのままにする」ということになっています。ところが、それが説明書にも書かれているのにもかかわらず、勘違いして2枚ともはがしてしまう人が多く、「あぎゃぎゃ!」と叫ぶ例が多いらしいのです。

これが2枚の金属板。右側はブルーの保護膜をそのままつけています。左は外しています。

 もう一つ。アンテナコイルに使うリッツ線と呼ばれるコード。これが、意外とすぐにからまって、始末に負えないらしいのです。それを防ぐには、あらかじめペットボトルなどに巻き付けるなどしたほうがいいということでした。

 で、自分でやってみると・・・。

電池と左の工具類は自分で用意します。006P、大量に使います。
そのせいで日本全国の100円ショップから006Pが消えたとか・・・。


 学研の付録というのは長年の伝統で実によくできています。説明もわかりやすいし、かゆいところに手が届きます。で、今回のキット、電気製品なのに半田付け不要。なんとドライバーまで付属しています。そのほかに若干の用具があればよいのだけれど、それも、きちんと説明書の最初に明示してあり、今回旅に持ってくるのに何を持ってくればいいかが的確にわかり、助かりました。

 小学生の頃、学研の「科学」でゲルマラジオを作ったことがあります。自分の育った場所は田舎で弱電界の地域でした。真っ昼間、ゲルマラジオで入感する放送局なんてなかったのだけれど、20mくらいのワイアアンテナを張って夜に受信すると、クリスタルイヤフォンからかすかに音が聞こえてきて感激した記憶があります。あの感激がまた味わえるのかと思うと、ワクワクします。しかも今度は真空管!スピーカーつき!!

 で、夕方4時半ごろ、組み立てを始めます。1時間ほどで、いよいよ大詰め、アンテナのリッツ線をまく作業。これが大変!ほんとにすぐ、からまってしまうのです。しかも、いったんからまると、線がよれてしまい、見栄え悪くなります!やっぱり、最初にペットボトルなどにまくべきだったのです。せっかく事前にそういう情報をつかんでいたのに、それをいかせず、残念。

 ただ、後で気づいたのですが、ペットボトルに巻かなくとも、元々厚紙に巻いてある線をほどいて、コイルに巻きつけていくのだけれど、このときに、大量に厚紙からはずさずに、少しずつはずして、少しずつコイルに巻いていけば、からまることはないのです。

 それを楽をしようと、最初にできるだけ長く厚紙からはずすと、その時点ですぐにからまってしまいます。うーん、後悔。これから、キットを作成する人は、ぜひ参考にしてください・・・。

 で、夕食の6時になり、一旦時間切れです。

 翌朝、再開。リッツ線も扱いのコツがわかり、巻くのがやっと楽に。

リッツ線の扱いはコツが要ります。

 で、30分ほどで完成。全工程2時間でした。

 わくわくしながら、スイッチを入れてみると・・・

 れれれ。何も音がしないのです。パイロットランプはついているのに。

 で、いろいろと眺めていて、ふと真空管の色(つまり底に色づけがしてあり、間違えないように、黒、青、赤と三本を指定の色が書いてあるソケットに差し込む仕様)に気付きます。最初の一本は確かめたけれど、後の2本を確かた記憶がないのです。で、抜いてみると・・・ははは見事に違っている!実はビールを飲みながらの作業。これだから酔っぱらっての作業は・・・。大丈夫かな?間違ってさして、壊れていないかな???
 で、もう一度スイッチを入れてみると・・・。ウンともスンとも言いません。でも、再度説明書通り、チューニングを試みてみます。このラジオの場合は再生式といい、やや煩雑な手順でチューニングするのです。 
 すると確かに、蚊の鳴くような音でピーという再生方式特有の発信音がしてはいます。そして、それに混じって、地元栃木放送那須局の音声も。だが、あまりにも不安定で、発信が止まると放送も聞こえなくなります。それに、まず第一、この蚊の鳴くようなあまりにも小さな音はどういうわけ?

 室内で電波が弱いからでしょうか?であれば、翌朝、これを外に持ち出してみてチェックすることにして、本日の工作はここまで。

 で、翌日外に出してみると、ほとんど変わりなしです。とにかく音が小さすぎるのです。とても実用のレベルではありません。何が問題でしょう・・・?と悩むのですが、部屋に戻り、ラジオの前にノートパソコンを置いた瞬間、スピーカーからかなり大きめの発信音がしたのに驚きます。そう、パソコンのノイズをひろったのです。ノイズとはいえごく近くの強力な電磁波だから、その分、大きな音がするのでしょう。ということは、単に栃木放送那須局の電波が弱くて受信音が小さすぎるということでは?であれば、東京に戻れば実用的な音で鳴るのではないでしょうか。

 確かに、持ってきた他のラジオでも、地元放送の電波はそれほど強くありません。一つには、泊まっている宿が那須の中心部からは離れており、しかも、山の谷間にあるせいでしょう。

 というわけで、期待した山の中での真空管浪漫・・・残念な結果に終わりました。

これが真空管。小さいです。おまけに、電源をいれてもほとんど赤くなりません。それがちょっと残念。

 で、Back to Tokyo.....

 東京に戻って、我が家の出窓に持っていきます。ノイズの多い環境ですが・・・。スイッチをいれてバリコンのダイヤルを回した瞬間、大きな発信音が。すぐに、説明書通り、スイッチを調整すると見事にNHKラジオ第1放送の音声が!かなり大きく、しっかりと聞こえます。うんうん、これなら実用レベル。さらにダイヤルを回してみると・・・しっかりと在京キー局がすべて入ります。おまけに、東北放送、中国国際放送(ロシア語)なども入りました。

 うーん、期待以上の成績に満足です。

 で、せっかくなので、その風景を・・・ビデオで撮りましたので「こちら」をクリックしてみてください。1.68MBのWMVファイルです(すみません、オリジナルが16:9の画像だったので、すべてがすこしつぶれて写っています)。最初にピーという音がしますが、すぐに左の再生ボリュームノブを調整してNHK第2放送が入ります。一旦これで音が正しく聞こえるように合わせてしまえば、その後は右のチューニングノブを回すだけで次々に放送が聞こえてきます。

 日曜日の夜、お酒を飲みながら、真空管ラジオのダイヤルを回していたら、聞き覚えのある声。吉永小百合さんと田崎真也さんの対談でした。TBSです。そして、その後の番組は嶌信彦さんと中山恭子元内閣官房参与の対談。

 ひさしぶりに大人向けの番組をこれまた大人向けのラジオで堪能。ゆっくりと聞きました。で、ラジオってやっぱり改めていいなぁと思います。まず、話される言葉がテレビよりもはっきりと頭の中に入り、また記憶に残るのです。視覚情報がないというのはこれほど大きなものなのですね。いままで自分でわかったようなつもりになっていましたが、改めて思い知ります。また、考える時間も与えてくれるようで、話される言葉を頭の中で反芻したり、関連する出来事を思い出したり・・・。おそらく、この番組のコマーシャルが少ないことと、ホスト、ゲストともに話し上手ということもあるのでしょう。「聴き入る」ということばがぴったりする時間でした。

 TBSがこんな時間に大人向けの良質の番組を編成してくれていることにも感謝です。昨今大きく編成を大人向けにシフトしている同局、あらためてありがたさを感じます。

 そして、それに気付かせてくれた学研の真空管ラジオ・・・。

 やっぱりラジオ、大好きです。

レトロな雰囲気100%。愛着の一台・・・その勇姿

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