011 日本では絶対現れない素敵なFM放送局
クラシックFM(Classic FM, London)

2008年 1月16日
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http://www.classicfm.co.uk/
これがクラシックFMのページです。


KAY2はクラシック音楽が子供の頃から大好き。

ラジオも好きなのはこのページをご覧になっているみなさんは先刻ご承知。

もう一つ、英語も好き。

ということで、3つが一緒になるとどうなるでしょう?当然KAY2にとって「めちゃくちゃ好きなもの」になりますよねぇ。じゃ、それって何?

答えは、「クラシック音楽を英語で紹介するラジオ放送」となります。

で、日本にはそんな放送局は存在しません。で、英語圏に行けばもちろんたくさんあるのです。

若い頃からずっとそんな放送を聞きたいと思っていたKAY2ですが、見果てぬ夢と諦めていました。

ところが、10年以上も前、仕事の仲間が朗報をもたらしてくれました。当時の「大阪有線放送」、今で言うUSEN440(&SOUND PLANET)が、イギリスのクラシック専門FM放送、 「Classic FM」を衛星受信し、配信し始めたというのです。

Classic FM はイギリス国内の比較的新しいクラシック専門「民放」局です。公共放送であるBBCはクラシックを中心に据えたチャンネル(Radio3)を持っていますが、それに対抗し、明るくアップビートな進行で、親しみやすい曲をメインにし、さらに、毎正時にはニュースも入るという編成。プレゼンターは元BBCの人気プレゼンターもいれば、現役の人気オペラ歌手もと多彩です。

飛びつきました。当時、めちゃくちゃ値段の高い聴取料でしたが(ま、440チャンネル分の料金なのですが)、モノともせずに契約。「クラシック音楽を英語で紹介するラジオ放送」を24時間聞くという夢が叶ったのです。KAY1は渋い顔でした。「こんな高額の聴取料、家計圧迫だわ!」

ところが聞き始めてすぐに英語がわからないはずのKAY1までひきこまれてしまいます。

今までの自分達の知っている既存のクラシック放送とは全く違っていたのです。特徴をリストアップしてみると・・・。

<1> 
毎時間必ずニュースと交通情報が入る。
ホントに、普通のラジオ放送なんです。クラシック専門なんて言われると某FM局のような、とにかくゆったりと玄人好みの一般受けしない音楽を延々とかけまくるというイメージからはほど遠く、それをかけていれば「ふつーのラジオとして」の情報が十分に入る編成になっています。まるでTBSやニッポン放送、文化放送・・・そんなイメージです。

<2>
CIって言いましたっけ?コーポレート・アイデンティティ。これがはっきりしています。とにかく、短いステーション・ジングルが様々なアレンジで放送の随所にかかります。ニュースのテーマもそう。オーケストラで壮大に演奏されます。モーツアルトの室内楽がかかるとモーツアルト調にアレンジしたジングルが・・・ギター曲がかかるとジングルもギターで・・・・。一体何種類用意しているのでしょう。すべて、同じメロディーを少しずつ変えたバリエーションです。あ、交通情報だけは弦楽合奏で、かなり異なるアレンジがなされていますが、これも、聞き始めるとすぐにわかります。同じメロディー。とにかく徹底しています。また、これだけの音源を用意するのに一体どれだけ予算をかけているのか・・・。ですから、放送を聞いていると本当に一つの完成された商品としてイメージがわきます。そして・・・とにかくかっこよく、オシャレなのです!これは同じ英語圏の他のクラシック専門チャンネルを見ても、ここまで徹底した例はありません。Classic FM ならではの魅力です。

<3>
ポップスでは定番のカウントダウン番組。なんとクラシックでもやっちゃうんです。毎週、どころか毎日!それも何種類かわけて(新譜だけのカウントダウンとか、週間チャート、年間チャートだとか)番組が放送されています。凄いですねぇ。

<4>
イギリスの放送ですから、当然イギリスの作曲家の作品が多く紹介されます。このおかげでそれまで真面目に聞いたことのなかったエルガーとか、ヴォーンウィリアムスなどが好きになりました。それとロシアや北欧の音楽もよくかかります。面白いのはイギリス人の好きな曲で日本ではそれほどでもない曲なんてのもわかるんですねぇ。頻繁にかかる曲で印象深いのはラフマニノフの「ヴォーカリーズ」と同じラフマニノフの「交響曲第2番・第3楽章」。日本でも好まれる曲ですが、とにかく桁違いによくかかります。あと、シベリウスや面白いのはシューベルトの「交響曲第5番・第1楽章」。これ、ホントによくかかります。

<5>
放送に隙がない。ま、これはカルチャーの違いです。間を作らず常に音楽かトークが流れています。このあたりの演出は全く違いますよね。アメリカの放送もそうですが。

<6>
日本のFM放送だと、いわゆる音楽評論家という人が出てきて、延々と話、やっと音楽という感じですが、こちらはどんな専門家が出てきても、音楽重視。ほどほどのトークです。司会者が超有名な演奏家であってもそうです。日本だとNHKにしてもミュージックバードにしても逆ですよね。トークがやたら長い。「Classic FM を目指して作られた」というふれこみのTBS系デジタルラジオ「Ottava」も今まで聞いた限りでは延々と評論家や司会者がしゃべりまくっていました・・・。放送作家が台本を書いているのでしょうか、関係ない話題が延々と・・・日本ではクラシック音楽というと、どうも高尚なものというイメージがあり、それがこうした、まるで大学の講義を聴くような放送、あるいは詩の朗読のような妙な自己満足的な放送になってしまう原因じゃないかと思うのです。逆に省力化のためか、早朝や深夜などは音楽をかけっぱなしでトークなし。まったく日本はやることが極端です。「ほどほど」ということがなぜできないんでしょうね。

<7>
アメリカの放送とも違う。同じ英語でクラシックと言ってもアメリカの場合、どうしても「ラジオ」で「クラシック」がターゲットとなると市場規模も小さいことがあり、どの局も少ない予算でやりくり。当然、プレゼンターの質も悪い。演出も単純。聞いていて、悲しくなります。Classic FM はその点、非常によくできています。贅沢な作りと言っても良いでしょう。これはもう奇跡とも言えるのじゃないかと個人的には思います。クラシックFM放送が民放として成功しうる(実際、ビジネスとして大成功のケースとして有名らしいです)というのは、クラシック音楽を本当に日常のものとしている層がイギリスにかなり存在するということの証だと思いますし、ラジオというメディアも元気がいいということの現れだと思います。リクエスト番組にかかる電話を聞いていても老若男女、本当にいろんな人が電話でリクエストをしています。



とにかく聞いていて心地よいのです。我が家では何年かほとんど毎日のようにかけっぱなしにして聞いていました。ところが・・・我が家の家計に対する負担はやっぱり重く、ローンを抱えた身には高価すぎました。そこで、ある年、契約を打ち切ってしまい、淋しい思いをしていました。

が、待てば海路の日和あり。

ネットのストリーミングの時代がやってきました。近年イギリスは著作権に関する大規模な法改正を行い、インターネットによる音声配信がかなり自由になりました。そのため、Classic FM も数年前から、ネットで自由に、タダで聞けるようになったのです!

そのおかげで、我が家でも Classic FM は主役に復活しました。え?今度はパソコンの前に座らなきゃ聞けないから不便?いいえいいえ。ご存じ、FMトランスミッターという便利なものがあります。これで、手持ちのラジオに電波を飛ばせば、狭い我が家の中であれば、他の部屋でも大丈夫。それこそ「FMラジオで Classic FM が」。我が家は「Classic FM 極東中継所」と化しています。おまけに一時期は下火になっていたFMトランスミッターも iPOD のおかげで売れ筋商品になり、質の良いものが多く出回っています。良い時代になりました。

でも、この放送のすばらしさを力説しても、なかなか賛同者が現れず悲しい思いをしていましたら、先日出張に出ていたとき、出張先のパソコンで聞いているのを目撃した仕事仲間が「え?KAY2さん、Classic FM じゃないですか!これ、聞けるんですか!?嬉しい〜!!」と大感激。聞くと、彼女、イギリスで長いこと生活したことがあり、そのときのお気に入りの局がこれ。日本に帰ってきて一番悲しかったのは「Classic FM が聞けなくなったこと」だと言うのです。やっぱり、ファンはいるんですよ!

というわけで、ひと味もふた味も違うイギリスのクラシック専門FM局「Classic FM」、どうぞ皆さんも聞いてみてください。あ、日本時間の午前中、つまりイギリスの深夜時間だけは期待はずれです。ヒーリング、環境音楽のようなのが中心になっちゃいます。

クラシックFMのページはこちら
http://www.classicfm.co.uk/


追記:


クラシックFMのホームページから直接音声を聞く場合、日本からのアクセスが制限される場合があります。その際、郵便番号の入力を求められるので、半角でイギリスの適当な郵便番号を入れると聞けるようになります。例えば、「WC2B 4P」。これはBBCの国際放送の本拠地、ブッシュハウスの郵便番号だったりします(笑)。

一番問題なく聞けるのは、RECIVA.COM(https://www.reciva.com/) というインターネットラジオのポータルサイトを通せば自由に聞くことができます。SEARCH で「CLASSIC FM UK」と入力すれば出てきます。利用登録をしなくとも利用できますが、利用登録すればさらに便利に利用できるサイトです。無料です。

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