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027 夢見ていたテキストファイル入力マシン
キングジム ポメラ DM20

2010年10月16日初出
2011年 1月24日改訂

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いろんな機種をつかってきました。
右下がポメラです。久々のテキストファイル入力マシン。

 




【テキスト入力マシン】

オアシスポケット、モバイルギア(青モバ、1~2)、シグマリオン(1~3)…と聞いてぴんときた人…あなた、テキストファイル、お好きですか?

文章を書くことが日頃の自分の生活の一部になっているKAY2。PCを持ち歩くのは好きではありません。だって、重いし、なによりも思い立ってスイッチオンしてから実際に書き始めるまでの時間がもったいない!

そんな人はKAY2だけではないようで、スイッチオンですぐに文章入力ができるといういわゆる「テキストファイル入力マシン」のような製品があります。

冒頭にあげたのは、いずれも一世を風靡した製品の名前。で、KAY2もオアシスポケットこそ手に入れませんでしたが、その後の製品は何度も買い換えてきました。ところがところが…。シグマリオン以降、同様のコンセプトの製品が市場から消えてしまったのです。

そう、世の中が携帯時代となってしまったためです。

携帯でかなりの用が足せる、そういう時代なんですね。ところが一つだけ足りないものが。そう。ブラインドタッチのできるキーボードです。

そこで、携帯に外付けのキーボードをつけて…なんてことまでしていたのですが…、やっぱりそれは面倒。かつてのようにふたを開け、スイッチオン、ですぐに文章が打てる機械がないものかと探し続けていました。


【ポメラ登場】

すると、2008年11月、意外なメーカーが意外な商品を。

そうです。文具メーカーのキングジムが「ポメラ(POMERA)という製品を出したのです。この製品、折り畳み式のキーボードに4インチのモノクロ画面がついたもの。そして、その機能は…テキストファイル入力に特化。

でも、このポメラ、できないことだらけなんです。たとえば、
・インターネット?つなげません。
・メール?送れません。
・プリンター?つなげません。
・外付けディスプレイ?つなげません。
・マウス?つなげません。
・ハードディスク?ありません。
・ワープロソフト?ありません。
・表計算?ありません。
・ゲーム?まさか。

いやぁ、なんて「潔い」のでしょう。

出来ることはテキストファイルの入力だけなんです(簡単なカレンダー機能はありますが)。

あまりに分かりやすいコンセプトに、これだ!と飛びつきたくなったのですが、実は、この時には我慢しました。というのも、

・キーボードの白というのがあまり好きでないこと。
・1ファイル8000文字までの制限があること。KAYSは8000字を越える文章を書くことも結構あります。

という理由。こういう場合は待ちましょう。新製品で絶対改良されるはずと信じて。


【DM20の登場】


キーボードを折りたたんで、蓋をした状態がこれ。

そこでしばらく待ってみると…ねらい通り、昨年末、プレミアムモデルとして1ファイルの文字制限が28000字に増えた製品が出、キーボードの色も黒に。

さて、買いますか?

うーん、ちょっと待って。デザイン。リザード・ブラックというのはあまり好きではありません。もう一つの赤っぽい色もなんとなく…。

うん、もう少し待ちましょう。

で、待っていたら、今年に入ってシルバーのメタリックなデザインのものが出てきました。もしかしたらKAY2と同じような思いの人が多かったのかもしれませんね。さぁ、いよいよ買い時。

で、さらに背中を押してくれたのはネットのサイトでみつけた、「これ以上、新製品は今年中には出ない」との開発者のインタビュー。これで決まりです。だって、買ってすぐに新製品がでたらイヤですよねぇ。

そして、ありがたいことにショップのポイントもたまっていました。

というわけでめでたく購入です。


【届いた!】

届いた箱を見て、その小ささにまず感動します。



そして、開けてみると、取扱説明書が思ったより薄い!でも、これは当然。機能が少ないし、なによりも、今までPCでエディターソフトなどを使っていた人には問題なく、従来の感覚で操作できるからです。いままでお店の展示品を何度もいじって、問題なく操作できていましたし。

さらに、当然のことながら、本体、小さいですねぇ!ちょっと厚めの文庫本という感じです。

電池は付属していませんが、エネループが使えるということで我が家の引き出しに大量に入っているエネループの単4を2本、さっそく入れます。そして、背面のボタン電池の絶縁フィルもはがします。

さて、ふたをあけてみると…バックライトがついていないのにずいぶん明るく見えます。そして文字の認識もはっきりと。文字の大きさも7種類から選べます。これはいいですねぇ。

で、打ち込み始めますが、実に快適。入力も変換も素早い素早い!

キーボードは折りたたみのためストロークが浅いのですが、それでも、大丈夫。

ファイルの保存なども感覚的に違和感なし。

実は前のモデルであるDM10のときには、購入者にとっていろいろと不満な点があったようで、それらがずいぶん改善されていると聞きます。現に、このDM20、いじっていて、ほとんど違和感を感じないのはそのせいなのでしょう。

強いて言えば、ATOKの辞書はそれほど容量が大きくないみたいで、意外な単語が出てきません。たとえば「内視鏡」、「乃至今日」となっちゃいます。よく使う単語は頻繁に単語登録する必要は、ありそうです。DM20では1000語まで登録できます。

あと、行数や文字数のスケールがないので、文章全体のどのあたりに自分がいるのかがわからなくなるのも残念です。

ところで、このDM20、作成した文章を400文字ごとに、QRコードに変換して、携帯などで読み込ませることができるとの話。

それって何の役に立つの?と思いながら、実験してみると、なんとまぁ…。これは見事に使えるじゃないですか。

つまり、たとえば携帯電話で短いメールを送る場合は携帯本体でそのまま打って問題はありません。でも、少し長めの文章となるとちょっとしんどい。そのかわり、ポメラで打って、QRコードで携帯に送れば…これは楽です。

で、実際にQRコードには即座に変換できますし、ごらんのように手持ちのウィルコムのスマートフォンで読み込んでみると、あっという間に元の文章に変換してくれました。お見事。

 

というわけで意外に便利な機能なんですねぇ。

もう一つ、長い文章を打っていくと、あとで途中の修正を加えたい場合、そこまでどうやってたどり着く?という問題があります。で、ポメラの場合、その対策として「付箋文」という機能があります。文字通り、付箋を何枚も目印として挟んでいけるわけで、あとでF5キーを押せば、順に付箋のついた場所まで飛んでいきます。しかも、その付箋文を自分で設定できるわけで、これは便利です。

たとえば、このレビューをご覧のみなさんはおわかりのように、KAYSでは途中の見出しに【 】を使っています。この【 を付箋に設定しちゃえば、あとで、F5キーを押せば、次々に見出しに飛べるというわけです。

よく考えられていますね。

というわけでこの記事もポメラで書いています。

長年の夢だったテキスト入力マシンとの再会、やっと夢が叶いました。

では最後に自分にとって良い点と改善してほしい点をまとめておきましょう。ご参考までに…。


【良い点】
・DM20になって処理速度が上がった。
・画面の大きさも文字入力には必要十分。
・画面にバックライトがないが十分明るい。
・文字の大きさが7種類選べる。
・アルカリ乾電池だけでなく、エネループ充電地も使える。
・電池の持ちもエネループで15時間と十分。
・キーボードはブラインドタッチに十分な大きさ。
・ショートカットキーも多用できる。
・PCとのデータのやりとりが容易。
・QRコードで携帯に文書を送ることができる。
・小さく、軽い。
・とにかく起動が速い!(2秒)。

【改善を望みたい点】
・周囲のプラスチックの部分に指紋がつきやすい。
・ATOKがPC版と比べると非力。変換できる語が限られる。
・一度に複数のファイルを同時に開けない。
・現在自分がいる場所は文書のどの部分なのかがわかりにくい。スケール、もしくは行番号を表示してほしい。
・キーボードを広げなくとも、電源を入れて画面が見えてスクロールできれば言うことなしなんだけどなぁ(青空文庫などを見るために)

割り切った機能ゆえに、どなたにも勧められるというものではありませんが、KAY2のように、やたらめったら文章を書く人間にとっては、とてもありがたい、まさに待ち望んでいた「銘機」といえます。


【追記:2012年 1月10日】
愛してやまない pomera。ついに後継機 DM100 を購入してしまいました。詳しくはこちらで。


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