青春18きっぷの旅 富士山を一周する!
「青春18きっぷ」ってご存じの方も多いでしょう。名前に反して、年齢制限はありません。最近では「団塊の世代」の方々が利用することも多いとか。11、500円の切符は定められた期間のうち5日間使えます。つまり、1日あたり2、300円でJRの各駅停車、および快速が乗り放題という大変お得な切符です。KAYSもこの切符をよく利用して「小さな旅」に出かけます。そんな旅から、2005年の3月の旅をご紹介しましょう。
<<旅程>>
路線 | 乗車駅 | 時刻&種別 | 到着時刻 | 到着駅 |
京王線 | 調布 | 06:05 各停 | 06:32 | 新宿 |
中央線 | 新宿 | 06:38 快速 | 06:52 | 東京 |
東海道線 | 東京 | 07:24 普通 | 08:42 | 国府津 |
御殿場線 | 国府津 | 09:11 普通 | 10:42 | 沼津 |
東海道線 | 沼津 | 11:50 普通 | 13:23 | 身延 |
身延線 | 身延 | 14:07 普通 | 15:21 | 甲府 |
中央線 | 甲府 | 15:38 普通 | 15:52 | 韮崎 |
中央線 | 韮崎 | 16:37 快速 | 18:09 | 高尾 |
京王線 | 高尾 | 18:15 準特急 | 18:49 | 調布 |
<<出発>>
早朝5時過ぎに起床。昨日の酒がまだ強烈に残っています。それでもばっちり目だけはさめてしまうのが鉄の性・・・。
青春18きっぷ、今回は上記のルートです。テーマは二つ。一つ目は「富士山をぐるっと一周しよう!」
上記ルートであれば、日帰りで富士山を回るルートが余裕で可能となります。幸い天気予報も本日は晴れ。明日は晴れ時々曇り。ということは今日のほうが富士山が見える可能性が高い。というわけで今日は酒のにおいをぷんぷんさせながらも無理して決行することにします。
そしてもう一つのテーマは「一日一本!」。って、わかんないっすよねぇ(笑)。つまり1日1本だけ走っている特殊な運用の列車に乗るということ。知る人ぞ知る、鉄道オタクの常識、「M521列車」、特急「踊り子」の車両を使った普通電車に乗るというわけです。特急の車両なのに普通。これはお得でしょ?でもなぜ?多分、運用の関係で、本来回送電車で運転されるべき車両をサービスで乗客が乗れるようにしているということのようです。
京王線、中央線とまず乗り継ぎます。新宿駅ではホームにあふれる人にびっくり。さすが3連休の初日です。多くの人が出かけるのでしょう。従って、中央線はまるで平日のような混雑です。
東京駅につくと、すぐに弁当屋さんへ急ぎます。旅の楽しみはまず弁当!
よく新幹線を利用する際に買う店に行ってみます。ここは小さいながらも様々な会社の弁当を取り扱っていて良いのです。今回は特に前から気になっていた青森の「祭ばやし」弁当を買ってみたかったのです。また、トンカツの「まいせん」もあり、KAY1はカツサンドを購入。
この電車、見覚えあります?
さて、ホームにあがってみると、20分前にもかかわらず、ホームには我々の列車目当てと思われる人が・・・。ややあって、目指す185系車両(踊り子用の特急車両です)が入線(ホームにはいること)します。さっそく乗り込みます。すでに製造して20年以上がたっている古い車両で、学生時代に友達と初めて伊豆に旅行したのもこのタイプの車両でした。ちょっとだけ感傷に浸りながら、テーブルの上に、ビールと弁当を置きます。
結構「特急型車両を使うお得な普通電車」だと言うことを知っている人がいるのか、人気があるようです。東京駅では6割ぐらいの埋まり方でしたが、途中から次々と乗り込み、結局ぎっしりと通路に人が並ぶという状態になります。伊東まで行くとあって、さすがに遠距離の旅行者もちらほら。途中から大学生の集団が乗り込みます。
気が早いKAYSはすでに品川あたりから弁当を広げて食べ始めておいたのですが、結果、良かったと思います。混雑の極みになった平塚あたりで弁当を広げたら多分、ひんしゅくものだったかもしれません。ちなみに祭ばやし弁当は小柄ながらもおいしい食材がそろっており、大満足でした。
途中、多摩川を渡るところで富士山がきれいに見えます。今日は雲一つない日本晴れ。しかもまだ早朝ということもあって空もきれいです。このあと辻堂でも大きな富士をみることができました。青い空に白い富士。パーフェクトな眺めです!
国府津駅、まるで病院か学校のようです(左)。 駅前の駐車場からの眺め(右)
乗り換えのため国府津で一旦降ります。外に出てみると、周辺はさびれた町のように見えますが、駅はやたらと立派で大きいです。4階建て鉄筋コンクリートという駅舎の大きさは異彩を放っています。対照的に駅前にはお店は小さな中華食堂と弁当やのみ。あとは閑散としている。駅のロータリーを出たところに非常に古い洋風の建物があります。歴史がそこだけぽっかりと残った感じです。
また、国道を挟んだ向こうにはマンションが建ち、その1階部分の駐車場からは太平洋の絶景が。遠くには伊豆大島が見えます。
<<御殿場線>>
駅に戻り、ミカンをイメージしたというおなじみ、緑とオレンジの東海色につつまれた115系電車に乗り込みます。御殿場線です。発車後すぐに左手に富士山が見えてきます。梅の林のバックに富士をみるのもおつなものです。梅で有名な土地柄らしいのですが、不覚にもKAY2は知りませんでした。KAY1が「知らないのぉ?有名だよ」と口をとがらせて責めます。
国府津を出るとすぐにこんな眺め
松田の手前で小田急との連絡線路が見えてきます。松田からは結構大勢のお客が乗ってきました。たぶん、小田急からの乗り換えが多いのでしょう。
車内には名古屋にある南山大学の吊り広告。東海圏内に近づいていることをこんなところに実感します。
列車はときおり「ピー」という甲高い警笛(同時に「プワーン」という音もしているが)を鳴らしますが、それがまた旅情を誘うんですよねぇ。
山北駅を過ぎると、急に勾配が上がり始め、トンネルに入ります。ついに箱根の山に突入です。
また、いつのまにか、富士は右側に見え始めています。
足柄駅に着いてみると、こんどは背後に箱根の山並みが続いているのがわかります。つまりさっき見ていた山並みの裏側に来たことになります。
ここで改めてあることに気付きます。「富士山ってまぶしいんだ!」雪がつもった上部は輝いていて、まるで・・・景色の中でそこだけがふわっと浮かび上がって光り輝いて見えるのです。おお、これはかぐや姫の入っていた竹の光り輝く部分のよう。そんなことを唐突に思いつくのも故あること・・・。かぐや姫が月に戻ったあと、残された老夫婦が姫からプレゼントされた不老不死の箱を開けたのは富士山だったという解釈があります。もしかして、こんな輝く富士を見て当時の人はかぐや姫のストーリーを考え出したのかもしれません。
南御殿場を過ぎてまもなく、電線にじゃまされずにゆっくりと富士を写せるスポットがあります。カメラを抱えて車窓からの写真を撮るには絶好の区間。わりあい長い時間見えるので大丈夫です。残念ながらこの日は偶然野焼きをしていて、この最高に富士が見えるスポットでは煙にかすみ、ほのかに姿が見えるだけでした。
写真を撮るには、藤岡のホーム前方からでもOKです。反対列車待ち合わせの場合もあるので、そのときには、ホームに降りてゆっくりと写真を撮れるはず。下土狩(しもとがり)で見る富士山は中腹にぽっかりと宝永の噴火口が見えます。雪が積もっているこの季節はその起伏がくっきりと際だって見え、その巨大さに改めて驚くことになります。こんなところから煙が吹き出している姿は想像すると妙。研究者によると富士山の場合頂上付近から噴火したことはあまりないのだそうです。ずっと昔には頂上から噴火している時期もあったそうなのですが。つまり、その時期によって噴火のタイプがころころ変わるのだそうです。
沼津に近づくと次第に大きな山並みに富士の中腹は隠されていきます。
沼津に到着。ひさしぶりに沼津のホームを降りてのKAY2は静岡出身の友人が自嘲気味に教えてくれたことを思い出します。彼女によると、静岡は茨城、栃木などと並び、日本でもっとも美人の少ない県なのだそうです・・・が・・・実際、見渡してみると、うーーん、そう言われれば・・・。☆α==(・・#)パーンチ。唯一もともと美人のKAY1がより輝いて見えます(ってゴマすりすり・・・)。ただ、教えてくれた彼女にしても、KAY2の知り合いの静岡県出身者はおしなべてみな美人揃いなのです・・・。ホントに。
駅前を歩くと歩行者用信号が青になるたびにメロディーが流れるのですが、なんと通常の「とおりゃんせ」じゃなくて、「富士はにっぽんいちのやまー」の曲が流れてきます。
駅前にある富士急デーパート内の神戸屋でまずお茶。そういえば国府津にも神戸屋がありました。このあたりに幅広く進出しているのかな。窓の外には・・・やっぱり富士山。ただし、中腹まで愛鷹山がさえぎっていますが、ちょうど、うまく、重なって、愛鷹山自体が中腹まで雪のない富士の山のようにも見えます。
沼津といえば?「魚」。そう。駅ビルの中にある魚屋さんでは、凄いネタの寿司が安価に売られているのです。大きなネタのオオトロ2カンにまるごとアナゴ寿司を含む江戸前寿司(東京のデパ地下なら2〜3000円はしそう!)が1500円程度で。以前来た時に「いつかここで寿司買って電車で食べよう!」と言っていたので、今日は実行です。
<<身延線>>
さて、ホームに向かいます。すでに時間は昼前。寿司を車内で食べるにはちょうど良いではないか・・・と、ホームについてみると・・・無惨。ロングシートの車両(123系)にあたってしまいます。おまけに車内は結構な客の入り。残念ですが、車内での「寿司パーティ」はあきらめることにしましょう。
目の前には日大三島高校の女子生徒たちが真新しい刷り上がったばかりだろう卒業文集を広げて見入っています。おお、卒業式かぁ・・・。私たちはもうウン十年前の話。若いっていいねぇ・・・。君たちの未来には限りない可能性が。私たちの未来には限られた可能性が・・・。(笑)
身延線直通の普通電車には新人車掌さんが乗っていました。大きな声で安全確認をしています。
沼津をすぎるとまもなく、富士が再び見え始めます。田子と東田子の浦間、富士の手前あたりで富士山のビューポイントが続きます。御殿場線では正面に見えていた宝永火口は右横に移り、そして、ついには火口の突起以外はみえなくなってしまいます。
富士駅からはさらに客が増えます。最初は複線のようで電車と途中ですれ違っていきます。ゆっくりと登り勾配を進みながら、右手の富士山がだんだん近づいて来ます。
富士宮は某宗教団体の参拝客のためでしょうか、ホームがやたらひろくとってあります。でも昨今は新聞をにぎわせたトラブルのせいで閑古鳥なんでしょうね。本日も乗降客はあまりいませんでした。だだっぴろい駅だけに寂しさを感じますねぇ。
身延線は最初のうちが富士ビュー
西富士宮を出るとまもなく、山の中に入っていきます。実はここから瞬間的な富士山ビューが次の沼久保駅までの間にあります。急勾配を単線で登りはじめまもなく、今度は車窓の左側に、広大な裾野を見せた富士山が現れます。この景色はかなりのもので、一瞬、はっと息をのみます。最初にあらわれるあたりがベストポイントでしょう。平均直径が40キロあると言われる富士の裾野は・・・やっぱり凄い、と実感します。
途中で大きな富士川が車窓車窓に現れます。水かさはたいしたことはないのですが、とにかく、河川敷が広いのが印象的。
結局、最後まで列車は9割方座席が埋まったまま終点の身延山に到着しました。
さて、待ち合わせの時間があるので、いったん駅の外に出てみます。道路を挟んだ向かい側は富士川がながれており、そして、それを見下ろす小さな小さな公園を見つけ、そこで昼食とします。遠くには雪を頂いた八ヶ岳も見えています。
で、すしの大トロは「絶品!」でした。パックのふた越しに見た印象よりも実際はもっと強烈。シャリを包み込むような巨大な大トロが2カン。口に入れた瞬間に言葉を失ってしまっいました・・・。
駅に戻ると、すでに、2両編成の列車(312系)が入っています。こちらはクロスシートつき。でも、4人がけのクロス部分はほぼ、すべて、1人、もしくは2人が腰掛けていたので相席をお願いしてみました。沼津からの車両とは違い、真新しく、乗り心地も良好。窓の外には南アルプスの山並みが何度も見え隠れします。
下部でかなりの乗客が降りていきます。みな観光客の風情から絶対に甲府までだと踏んでいたので、これはうれしい誤算でした。連休を利用して温泉旅行に着ていたようです。我々の相席の相手も降りていき、4人がけのクロスシートを我々2人で独占。
富士の裏側(って失礼?)が見えました
岩間の駅で、富士山の頂上部分だけが顔を出しているのを見ます。朝見た富士のちょうど裏側を見ていることになります。
東花輪の手前、笛吹川を渡るときに右前方、山並みの合間に富士山の真っ白な峰が見えています。
常永駅で富士がさらによく見えてきます。
<<中央線>>
甲府で乗り換えです。本当ならばここで1時間以上の時間を過ごしてホリデー快速で新宿まで帰るつもりでしたが、万が一の混雑を考えて、韮崎まで行っておくことにしました。で、駅の売店をのぞいてみると日本酒のカップ酒のようなワインのカップ酒を発見して驚きます。さすがワイン王国、山梨です。
乗り換えの列車は115系。行き先の見慣れない「明科」という地名に二人とも「?」。後で調べてみると長野のさらに先でした。
途中、竜王をすぎて、ふたたび富士山の写真をとったりします。
韮崎に降り立つとホームから富士が見えます。けれどふと気付くと反対方向に携帯のカメラを向けている人がいます。レンズの向いている方向を見ると、八ヶ岳が・・・こちらもホームからよく見えるのでした。
韮崎のホームから富士(左)と八ヶ岳(右)
生まれて初めて降りた韮崎駅そのものは小さな駅で、小さなキオスクとパン屋さんがあるだけです。そこで駅前のスーパーを物色してみます。そこでチーズ入りの蒲鉾を買ってみます。KAY1は花林糖。
さぁて、いよいよ本日のJR最後の列車。ホリデー快速です。こちらは全2階建ての通勤型車両。到着した列車は意外にも空いていました。そこで、最後尾の自由席車両の2階に座ります。
反対方向の「かいじ」などはとても混雑しているようです。下りはこの列車も比較的すいていますが、「青春18きっぷ」が使えないからとその前にやりすごした臨時「かいじ」は韮崎を出る時点でがらがらといえる状況でした。
夕暮れをむかえつつある甲府から頂上をすこしだけ見せている富士山を写真におさめます。いよいよこれで、富士山一周の旅での富士の写真としては最後の一枚になるはずです。この後都内に入れば日も暮れていることでしょう。
相模湖で紅く染まった雲を見ます。iPODから流れるBGMは薄幸の天才ピアニスト、田中希代子の弾くモーツアルトのピアノ協奏曲24番。クルト・マズアのバトンによる名演奏です。早春とはいえ、まだ冬の様相の濃い山並みをみながら聴く短調のモーツアルトは心のひだにしみわたっていきます。
相模湖を過ぎて、車掌さんの流す車内案内のバックがなにやらにぎやかです。列車無線の音のようです。そういえば、前の駅の車内案内でも聞こえていた気がします。そこで鞄から無線機を取り出して(オタクでしょう、ホント)つけてみると、「***列車、火災の状況はどうですか?」と聞こえます。お、沿線で火災?これはダイヤに影響があるかもしれませんねぇ・・・と思っているとやがて車内放送も始まります。「国分寺駅近くで火災のため、現在列車が・・・」さらに、この先、電車が止まる可能性があると伝えてくれます。ちょうど電車は高尾に滑り込んだ直後。そこで我々は名残惜しいけれども、降りて京王で帰ることとします。ホームに降りると「この列車はここでしばらく停車・・・」と駅構内に案内が流れます。
というわけで、今季の「青春18きっぷの旅」、最終旅行はあわただしく終わっりました。ちなみにその後火災は鎮火し、ダイヤは乱れたものの、JR線は30分後には復旧していたそうです。
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