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008 BCLの出版ブームと淋しいお空
〜24時間英語放送周波数調査から〜

2008年4月6日
 



調査風景。主力はIC-756PRO2とAR7030Plusです。今年はそれにパソコンも加わりDRM受信も!
 

 

 自宅の工事、引っ越しなどにともなって、1年ぶりとなってしまったKAYSのページの主要コンテンツ「英語放送の24時間調査」、復活しました。やっとアンテナを建て、とりあえず一通り聴き、まず第1版を出したところです。

 いやぁ、1年ぶりにゆっくりとラジオの前に座りましたが、この短期間でのあまりの様変わりに驚きました。

 短波、とりわけ英語放送の世界は一気に淋しくなってきましたねぇ・・・。ラジオのダイヤルを回していて、あまりの静けさにしばし呆然としてしまい、伝播障害でも起きているのかと思ってしまいました。しかし、やがて、これが現実だと気づき、なんだか、聞いていて悲しくなりました。わずか1年でこんなにも変わってしまうとは。

 一番大きな原因は昨年から今年にかけてBBC、NHKともに大規模な短波放送の縮小が行われたことです。このため、昼間などはBBCを聞くことが難しくなりましたし、あれほど聞こえていたNHKにいたってはその存在がほとんど感じられなくなりました。以前VOAが大規模に周波数を削減した時以上のショックです。(24時間調査では昼間にBBCの周波数がいくつか記されていますが、これは東アジア向けではありません。したがって、いずれも弱いシグナルで入感しています。以前のような強力な受信は望めません)

 おまけに数が少なくなったヨーロッパ局もDW(ドイチェ・ヴェレ)を除いてあまり入感しませんし、以前の予算削減で少なくなったアメリカのVOAはますます影が薄くなっています。一方でやたら聞こえてくるのは中国国際放送(CRI)の英語と京劇音楽によるジャミング。

 ま、今は太陽黒点の新たなサイクルが始まったばかりでお空の状態が良くないということもあるでしょう(そう思いたい!)。

 おかげで、以前は聞こえてくる英語の局を片っ端から確認していくのに「時間との闘い」で必死だった24時間調査も、今回はお茶でも飲みながらのんびりダイヤルを回していても十分できてしまいます。

 また、KAYSの引っ越し先、以前よりはいいとはいえ、原因不明の生活ノイズのせいで5MHz以下は全く受信できません。6MHzから13MHz帯までもノイズが結構混入しています。そのせいで聞こえる局も限られるのでしょう(本当にそう思いたい!)。



30年ぶりにBCL関連書籍の出版ラッシュ!

 ところが世間では・・・

 皮肉なことに、本当に久しぶりの現象ですが、このところBCL関連の出版が相次いでいます。

 一昨年、三才ブックスから「ラジオマニア」という本が出て、その中にBCL関連の記事がかなり組まれていました。さらに昨年CQ出版社からBCLの入門書「簡単 BCL入門」が。そして「ラジオマニア」も新たに2007年版が出版されました。さらに、三才ブックスからは昨今のオークションブームを反映し、BCLのラジオを特集したムック「BCLラジオカタログ」も出されました。

 そして、今月、三才ブックスはさらに「再び始めるBCL〜世界のラジオを楽しむ」を出しました。タイトルから明らかなようにBCL復活組のおじさんを意識した本です。とはいえ、これから始めようとする若い人にも十分役に立つ本です。そしてこの本の画期的なところは、周波数の一覧を掲載した付録(!)をつけたことにあります。考えてみれば三才ブックスの出している月刊誌「ラジオライフ」は創刊の頃はBCLを大きく取り上げた雑誌でした。それがいつの間にか怪しい雑誌に変わってしまっているのですから、こうした本を出すことは出版社にとってはある種原点に回帰したともとれます。

 またかつてのBCL世代も、そろそろ自分たちの仕事のゴールが見えはじめた人も出てきているに違いありません。そうなると忙しい中にも趣味に目がいくかもしれません。そこで、BCLに戻り始めたというのもあるかもしれませんね。

 オークション市場の成熟にともない、BCLラジオも手に入りやすくなりました。中国製の安いラジオも性能は徐々に良くなってきています。久しぶりにBCLには最適な環境が整ってきたというのに・・・冒頭の寂しさです。

 BCL復活組の皆さん、英語放送に関しては昔のイメージを忘れてください。お空はここ1年で劇的に淋しくなりました。


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