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003 オーディオ装置 2
DENON トールボーイ・スピーカー SC−T777SA−M


2003年2月6日


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ついにやってきました!DENONのSC−T777SA−Mです。
♪大きいぃことはいいことだぁ・・・。(笑)
 

 

 オーディオ、後日談を・・・。ついでに、エラソーなことを一杯書きましたがKAY2は永遠のオーディオ初心者であることもおことわりしておきます。(^_^;) 見当違いの事もずいぶんあるかと思いますがご容赦を。

 2002年の夏にオーディオ装置を新調した話を以前書きました。その際、スピーカーの選択で大いに迷った話も。そのとき選んだインフィニティのRefere−21はヌケのいい明るい音色のスピーカーで、特に金管楽器などの音の再現には鳥肌が立つような満足感がありました。定価が2本で5万円。

 実勢価格は3万数千円。この値段からのコストパフォーマンスは抜群といっていいと思います。また、ジャズや歌謡曲などを聴いていると、とても素直な音で、仕事でスタジオモニターを聞くようなそんな感じでもありました。

 ただ、一つだけどうしても満足いかないポイントがありました。それは低音です。他のジャンルでは一向に気にならないのですが、クラシック、特にオーケストラ作品を聞くと、どうにも、低音が不足して、迫力がないのです。

 ただ、この価格帯のブックシェルフのスピーカーにそれを求めるのは酷だというのもわかっていました。


【SC−777SA−Mとの出会い】

 でも、心にちょっとした引っかかりがありました。以前に書いた通り、スピーカーを選択する際に迷ったDENONの「PRESTA201SA」純正のSC−201SA−BH。ブックシェルフの割にずいぶん低音が出ていたのです。きけばPPDD(プッシュプル・デュアル・ドライバー)方式といい、同じサイズのウーファーをもう一個裏側につけて、それにより、低音が無理なく増幅されるという技術を採用したものでした。ただ、全体の音質が好みに合いませんでした。しかし、DENONには同じ形式のスピーカーでランクが上の製品もあるということもそのとき教えてもらっていました。

 昨年になって、ヨドバシカメラや石丸電気などでふたたびスピーカーの試聴をはじめて見ると、まさにその上位機種であるDENONのSC−777SA−Mという製品が気になり始めました。期待通り低音が相当に出るのです。また、全体におとなしめの音ながら、充実した音を聞かせてくれます。これはいいなぁと思い始めました。何度も試聴しているうちに、へそくりがある程度たまっているのをいいことに、この機種を買おうかなと思い始めます。KAY1の説得にもあたります。「何いってんの!スピーカーは今ので十分。それに去年買ったばかりでしょ!」けんもほろろです。「おれのへそくりだから文句言わないでくれよ!」と返すのですが、あまり色よい返事はもらえません。

 夏頃、ヨドバシカメラにKAY1を無理矢理連れて行き、一緒に試聴します。思った通り低音はこのサイズとしては文句なくすばらしいのですが、やはりやや音がくすんだ感じがします。実はインターネットなどでもしばらく前から評判を見ていたのですが、この「音がくすむ」というのが多くの人が言っている印象です。確かに・・・。本来のスペックを見ると、相当高音の伸びはいいはずなのですが、これは設計した人の好みなのでしょう。わざと高音の華々しさを削ったような音色です。また、以前のエッセイで書いたように、インターネットでの評判を見る限りDENONという会社そのものはアンプやCDプレーヤーのメーカーとしては国内でもっとも評価の高いメーカーですが、ことスピーカーに関する限り、評判はそれほど良くないようです。インターネットなどで見る限り、スピーカーは海外製品が良く、国内製品ではビクター、パイオニアなど数社を除いてはあまり評価されていないようです。


【今度はSC−T777SA−Mとの出会い

 でも海外製品なんて、値段がなぁ・・・と思っています(例のRefere−21は嬉しい例外ですが)。仕事仲間などで、よく「ローンを組んでタンノイを買ったよ!」とか、「ジャズならJBL」、「やっぱりボーズが手軽でいいや!」などの発言が目につきます。そんなことを思い出していたところ、ふと、目がトールボーイのSC−T777SA−Mに行きます。同じシリーズの製品です。「T」という文字が入っているだけの違いですが、見た目は相当に違います(そりゃ、Tはトールボーイの略だから・・・と自分でツッコミ)。とにかくでかいのです。あ、そうそう、この製品だったらもっと低音が豊かだろうなと思い、試聴させてもらいます。音が出た瞬間に驚きます。SC−777SA−Mとくらべ、低音だけでなく音全体のまとまりが良いのです。すっかり惹かれてしまいました。おまけに値段も1万円ほど安い。

 そうか、トールボーイという手段もあったんだ!と改めて気付きます。実は一昨年夏にPRESTAを買ったときにも店員さんが「低音にこだわるならトールボーイという選択肢もありますよ」と言ってくれていたのです(ヨドバシの店員さんは他の家電チェーンに比べると親切な人が多いです)が、そのときは、スピーカースタンドを買ったばかりだったので、それを無駄にするのがいやで、選択肢から外していたのです。

 DENONを聴いた後、店員さんが「トールボーイならこちらがおすすめですよ」とB&Wのやや値段の高い方を示して鳴らしてくれます。うーん、確かに、細やかな音の再現性が良く、まとまりもさらに良い。さすがイギリス製。ただ、残念なことに低音があまり出ていません。

 KAY1の顔を見ると「でも、このDENON、逆に低音出過ぎ。これじゃポップス聞けないよ!」と一言。確かにこれでユーミンも試聴してみたのですが(店員さんもちょっと引いてました。周りのお客さんもびっくり。こんな試聴コーナーでユーミンがかかるなんてまずないことでしょう)、さすがにドラムやベースの音が必要以上に響いています。

 この日は周囲の好奇の目を感じながら引き上げることにします。またさらに悩む日々が・・・。

 初冬になり、再びヨドバシカメラに。ビクターのトールボーイ、SX−LT55が評判いいとの話を聞き、試聴してみます。結果・・・うーん、あまり好きな音じゃない。全般に明るく華やか。一般にはそれがいいということなのだろうけれど、自分の好みに合わない。結局オーディオの選択って、そこが一番問題なのじゃないでしょうか。音に対する好みというのは本当に十人十色。そうすると、いくらオーディオ雑誌で良いと言っても、それはあくまで評者の好み。逆にどんなに評判悪いものでも、自分の好みに合えば、それがベスト。だからこそ、スピーカーの選択は自分の耳で納得いくまで聞き込まなきゃだめ。さらに、これも評判の悪くないインフィニティのKAPPAシリーズのトールボーイも聴いてみますが、こちらはどうも音作りに粗雑な印象を持ちます。

 DENONの「SC−T777SA−M」は決してオーディオ雑誌などで悪い評判ではないけれど、インターネットなどでは「音が地味」とか「くぐもった音」という評価が一般的。でも・・・自分の好みのオケの音を鳴らすには一番と感じたからにはそれがベストチョイスなのでは?そういえば、ネットでも「このスピーカーなら何時間聴いても耳が疲れなくて幸せ」という評価もありました。自分にとって理想的な音は?これは年齢によっても変わるかもしれません。昔はズバリ「ドンシャリ」が大好きでした。特に高音のきらびやかさに惹かれました。その後、年齢を重ねて聴覚が変化(ホントは衰えなんでしょうが)、高音のシャリシャリが疲れるようになってきたのです。その一方で、六本木のサントリー・ホールで聴くオーケストラの音(会場の特有のアコースティックで全体にふんわりとした音になります。これはたとえば渋谷のオーチャード・ホールなどの響きとは大きく違います。そのため、サントリーホールではマーラーやリヒャルト・シュトラウスなどまさにドンシャリ的な近・現代作品を聴きたくないという人もいます・・・)に一番の理想を感じるようになってきました。今回のスピーカーの聞き比べでそうした音に一番近かったのが、このDENONなのです。

 やっとそう自分で思えてきて、いよいよ購入に踏み切ることに。


【いよいよ製品を購入】

 ついに配達日。早朝から目覚め、部屋の片づけなんぞをしたりします。うーん、前回のステレオのときもそうだったけど、こういう大きな買い物(自分にとって)をすると、どうにも目覚めが早くて・・・。

 で、昼前、届いたのですが、とにかく箱が大きくて重い!ひ弱な自分では一人で持ち上げることは困難。そこで、ずりずりと引きずって居間に運びます。その昔、ピラミッド建設の時に、ころを使って石材を運んだなんて逸話を思い出しながら、箱から出したスピーカーを「座布団ころ」に乗せて、アンプの横まで運びます。そして、ケーブルを接続。

 記念すべき第1声というか第1音は・・・。

 あれ?意外と堅い音。そうでした。購入直後の音というのは特殊なんだそうです。しばらく、まずはFMでもかけて、慣らし運転を。本格的なエージングなんてのはきっと数ヶ月はかかるのでしょうが、まず、慣らし運転も大切では?と思い、鳴らして(ダジャレにあらず!)みるのですが、信じられないことに、わずか数時間で当初の堅さは早くもとれてきました。不思議なものですねぇ。(もしかしたら単に自分の耳が慣れただけかな?(^_^;))

 さて、KAY1が帰宅して、我が家のあまりに狭い部屋と対比してのスピーカーの大きさに驚き、夫婦げんかが始まったのですが、まぁ、その話はおいといて・・・。持っているCDのうち、特に低音の響きを確かめるのに良いフレデリック・フェネルとクリーブランド管楽アンサンブルによるホルストの「第1組曲」をかけてみます。テラーク・レーベルの優秀録音の誉れ高いものです。第3曲の冒頭、大太鼓の音が出た瞬間、のけぞります。これはリアル!ホントにこれは凄い・・・。

 KAY1も不承不承納得したようです。

 続いて、様々なCDをかけまくってみます。事前にインターネットで読んでいたとおりの印象です。確かに高音のすっきり感は以前のインフィニティに比べて格段に落ちます。ただ、全般の印象は狙ったとおり質の良いクラシック専門の大ホールで聴いたときのような響きに似ていて、聴いていて落ち着きと心の安らぎを覚えます。とにかく疲れない音なんです。また、スペックにうたっているとおり、高音が出ないわけではありません。それが証拠にベルの音など、きちんと響いているのです。ただ、その響き方というか、味わいがストレートでなく、全体の音の雰囲気の中にとけこんでいる感じなのです。とにかく上品の一言につきます。ちゃかちゃかしていないのです。でも、それがきっとロックやポップスなど他ジャンルの音楽を楽しむには大きなマイナス要素になるのでしょう。

 では、今度はジャズ・・・と小曽根真のCDをかけた瞬間、はっとします。ピアノの音が「ヤマハ」サウンドなのです。今まで何度も聞いていて、そんなことに気付いたことはありませんでした。このスピーカーであれば、ヤマハと他のピアノ、例えばスタインウェイ(それは違いすぎで誰でもわかる?)などとの違いがはっきり出ることに気付いたのです(といって、ホントに小曽根氏が普段録音に使っているのがヤマハかどうか自信はないけれど・・・誰か教えて下さい(^_^;))。やはり伝えてくれる情報量が圧倒的に今までのスピーカーと比べて多いのでしょう。

 さらに、パイプオルガンの響きが堪能できるサンサーンスの交響曲第3番をかけてみると、いままで、あまり聞き取れなかった低音のオルガンの動きがはっきりとわかるのに快感を覚えます。

 というわけで、大きな満足を得た買い物で、もうこれで24時間、音楽を楽しみたい!!と思ったのですが、一つ困った問題に直面します。こうした音を味わうためには、どうしても、ある程度のボリュームを出したくなってしまいます。でも、我が家は集合住宅、隣近所の音が筒抜けの状態。特に自慢の低音(低音ほどよく近所に伝わるんですよねぇ・・・)は絶対に近所迷惑なはず。これは今までのスピーカーでは思わなかったことです。これでは、自然とこのスピーカーの音を楽しむ時間は真昼に限られてしまいます・・・。うーん、買って、鳴らしてみてから気付いた大いなる誤算です・・・。

 それにしても、我が家は貧乏なのに・・・。いよいよご飯を1日2回に減らして乗り切りますかぁ・・・。

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