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009 ようこそ、DRM! 〜 デジタル短波放送を聞く
AR7030 + DREAM(ソフトウェア)

2006年12月03日

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Dreamという名の「夢の」ソフト。ニュージーランドのデジタル短波放送が無事、復調できています。

  

【DRMって?】

国際放送の世界でDRMといえば、著作権のことではなく、このところ話題の「デジタル方式による短波放送(Digital Radio Mondiale)」です。そうです。短波放送をデジタル方式で行うというもので、デジタルならではの特性でフィージングや混信のない、クリアな放送が楽しめる上に、短波の特性である、ある程度の出力であれば世界中に電波が届くという、デジタル放送と短波放送の両方のおいしいところを併せ持った放送なんです。何年も前から試験放送が行われ、特に、ヨーロッパを中心に活発に実験が行われ、また、専門雑誌などでもその記事が目立つようになりました。最近になってようやく本放送を始めたところが増え、さらに今年は一般向けの安価な受信機が発売されはじめました。そう、いままでのアナログラジオでは残念ながら、この放送を楽しむことはできません。普及の鍵はいかに安価なラジオが開発されるかにかかっているわけです。

KAY2の仕事仲間の友人が新発売のDRM受信機を手に入れ、実際にアンテナをつないで聞かせてくれたのはつい先日のことでした。イギリス製の受信機で3万円ちょっとの値段で個人輸入したようです。そして、いままでWEBでしか聞いたことのない(DRMの公式サイトなどに音声のサンプルが掲載されています)DRMの受信音を聞き、ちょっとした衝撃を覚えました。ホントにフェージングもなく、まるで地元のFM放送を聞いているかのごとくに、きれいにRNZI(ニュージーランド)が聞こえてくるのです。これならBGMとしても十分に楽しめます。なんだこれは・・・おいおい、短波放送の聴取習慣(ノイズに耐え、集中して聞く)からすると、これはとんでもないゾ・・・。

そこで、私も密かにKAY1の目を盗んでDRMラジオを購入することを考え始めるのですが、当の友人に尋ねてみると、「実際に使ってみるとこの機種は感度がいまいちだし、これから新機種が次々に発売されるから待ったほうがいいかも・・・」との言葉。

うーん、はやくDRM体験を自宅でしたいっっっっっ!と欲望は加速度的にふくらみます。


【Dream】

そんなある日、風邪をこじらせてダウンしてしまいました。風邪菌がなんと頭の中を駆けめぐり、ついに片耳が聞こえなくなってしまいます。「安静ですね」と医者から言われ、会社を休み数日寝込むことになります。が、数日で調子が良くなってくると、悪い癖でベッドの中でインターネット。キーワードは「DRM」・・・。

あるんですよぉ。情報。ここ数年のうちにずいぶんDRMが身近になっていたんですね。中でも「ラジオの時間掲示板」の中の書き込みに釘付け。AR7030(PLUS)を持っていれば、Dreamというフリーソフトを導入し、パソコンの音声入力と受信機の音声出力を接続することで電波の強い局ならばDRM復調ができるというのです(書き込んでいらっしゃった「わちび」さん、「HIROKI」さん、そして掲示板の管理者の方、ありがとうございました!)。

ベッドを飛び出し、ソフトをダウンロードします・・・。

ノートパソコンのマイク入力とAR7030PLUSのスピーカー端子をつなぎ、ラジオをRNZI(17675kHz)にあわせ、ソフトを立ち上げてみます・・・。

「わちび」さんの書き込まれた通り、

・USBモードにします。
・フィルターを4(9kHz)に
・PBSを+1.5に
・周波数を実際よりも5kHz下にします。

ボリュームを調整すると・・・。
残念、なにも変化なく、パソコンからはノイズのみ聞こえてくるだけでした。でも・・・この日のRNZIはややシグナルが弱いようです。

次の日、引き出しにしまってあった短波用プリアンプを取り出します。で、同じ操作をしてみますが・・・だめ。

ふと思い立ち、デスクトップを立ち上げ、そちらにもソフトを導入。
マイク端子とAR7030PLUSのイアフォン端子を接続。そしてプリアンプをアンテナと受信機の間に入れ、そして、ソフトを立ち上げてみます。RNZIにあわせ、同じ操作を・・・。

お、いきなり英語のインタビューが聞こえてきます。

あっけなく復調です。きれいな音声が聞こえてきます。成功!!!!!

「こんなに簡単でいいの???」というものです。

プリアンプを入れたのもよかったのでしょうが、どうも、機材や接続の組み合わせにもよるようです。たとえば、AR7030PLUSの側、イアフォン端子のかわりにスピーカー端子にしてみたら、とたんに復調が難しくなりました。ですから、やはり、試行錯誤が必要のようです。

最初は音がとぎれていたものの、14時過ぎには安定して、ほとんどとぎれがなくなりました。うん、これなら十分実用レベルです。


 

DreamはAORのAR7030(+Plus)と組み合わせて使います。


【今後】

来年あたりから、次々とDRM対応の受信機が安価に供給されるようになるはずです。そうして、普及が進めば、もしかしたら昨今ぱっとしない短波放送復活の起爆剤になりえるのかもしれません。

少なくとも、こうしてRNZIを聞いていると、短波復活のきっかけには十分なると思います。これなら毎日、つけっぱなしで聞ける、つまり、短波放送の場合難かしかった「ながら聴取」ができるのです。これはホントに画期的なことです。まったく新しいメディアが誕生したといっても言い過ぎではないでしょう。だって、手軽に、海外からの放送を「きれいに」聴ける・・・。同じようなことのできる「衛星ラジオ」は衛星を見通す場所でなければ受信が不可能です。「インターネットラジオ」では、なんといってもネットにつながっていなければなりません。これだけ高品質の海外からの音声を手軽に(今回はパソコンにつないで復調しましたが、これから安価な専用ラジオが次々発売されるでしょう)楽しむことのできるメディアは他にないのです!ようこそDRM!君が来る日を待っていた!!!

ところで、現在日本で強力に受信できるDRMはRNZIですが、今後、数は増えてくるでしょう。またヨーロッパ向けのDWなどを受信していらっしゃる方もあるようです。近いうちにこちらもチャレンジしてみましょう。楽しみが増えました!

そうそう、最近は短波を聞くのにICF−6800Aが主力。以前の主役の場を奪われたAR7030Plusもこれで現役復帰となりました。持つべきものは受信機ですねぇ。他の受信機ではDreamでDRM復調はできないのだそうです。AR7030(+Plus)オーナーだけの特権です。えへん。

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