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010 苦しさが「軽微」な「経鼻」(笑)内視鏡を体験
フジノン東芝ESシステム

2006年11月07日
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某有名研究所病院です・・・って匿名になっていない(笑)。

  

【人間ドックで】

KAY2は毎年人間ドックを受けています。自分の健康に気遣う優等生です。(^_^;) とはいえ、実は人間ドックについて語ればそれはそれで結構蘊蓄があるのですが、今回は省略。

今年の人間ドック、珍しく胃のX線で引っかかっちゃいました。

ドックの最後にある医師問診で写真を見ながら説明を受けます。

「食道の上部にね、影があるんですよ。食道下部ならまぁ、結構多いんですが、上部は珍しいですねぇ。これは、内視鏡の検査が必要ですね」

いままで人間ドックでほとんどひっからず、優等生だったKAY2はこの言葉にショックを受けてしまいました。昔から「吐き気恐怖症」のKAY2は「内視鏡で激しくゲーゲー吐き気がして涙と鼻水でぐちゃぐちゃに苦しんだ」なんて話を良く聞き、そんな想像をするだけで七転八倒です。

というわけで、いままで内視鏡検査はしないでいたのですが・・・X線で引っかかるとそういうわけにもいきません。

せめてもの抵抗を試みます。しばらく前に新聞で「鼻から入れる内視鏡は苦痛が少ない」という記事を読んでいました。そこでそのクリニックに「そういう内視鏡のクリニックを紹介いただけませんか?」と頼んでみました。難しいかなぁ・・・と思っていたら意外や意外。たちどころにリストを持ってきてくれたのです。時代は進んでいるのですね。

というわけで、某有名研究所病院で内視鏡検査を受けることになりました。

そこで、まずは情報収集。インターネットで鼻からの内視鏡についていろいろと見てみます。するとやはり従来の口からの物と比べて画期的に楽だとの話です。技術の進歩で本体が細くなり、それにより可能になったとのことでした。しかも、検査の最中に医師と会話ができるなど、他にもメリットがあるようです。

http://www.hanakara.jp/ こちらのサイトをご覧になれば、相当詳しくわかります。

ただ、一つだけ心配だったのは、鼻の形によってはこの内視鏡が利用できない場合があるそうです。その場合はその場で口に切り替えるそうで、それだけが心配です。


【で、当日・・・】

前夜から食事をとらずに病院に向かいます。やっぱりドキドキします。苦痛が少ないとはいえ、自分の食道の中を管が通わけです。しかも、鼻から入って・・・。鼻血が出たらどうしようとか、途中で鼻水がとまらなければどうしよう。あげくは自分がアレルギー性の鼻炎を持っていることから、そのせいで鼻からはダメと言われたらどうしよう・・・。

不安を抱えながら待合室で待ちますが、結構、他に検査の人が多いのに驚きます。なんと15分おきでびっしりスケジュールが入っているようで、待合室には5〜6人分の椅子があるのですが、すでに一杯です。

やがて名前を呼ばれ、まずカーテンのある一角で事前の処置を受けます。まず、簡単な説明があり、その後、鼻の麻酔。これが・・・簡単だけれど意外とキョーレツな処置です。麻酔薬を含ませた綿棒を一本ずつ、両方の鼻の穴に半分つっこむのです。そのまま麻酔が効くまで5分待つのですが、鼻の奥に物を入れる違和感・・・これは普段体験することのないことで、非常に独特の感覚があり、入れられた瞬間、ビックリして、体がのけぞってしまいます。もちろん痛みはないのですが・・・。いやぁな感覚です。おまけに目の前に鏡がないから良いようなものの、他人から見ればおよそふざけた格好に見えるに違いありません。昨年風邪をこじらせ中耳炎を患い、鼻から器具を入れて治療をした経験があるので、良かったと思います。そんな体験がなく、いきなり鼻に綿棒をつっこまれると多分、相当うろたえてしまったことでしょう。

数分して綿棒を取ると今度は喉の麻酔。霧吹きのようなもので、喉の奥に麻酔薬を吹き込むのですが、これが、熱いものを飲み込んでやけどをしたように、相当にいがらっぽい感じの違和感です。おもわず「げほげほ」と咳き込みそうになりますが、かろうじて我慢・・・。

うーん、意外とこの事前処置だけで全身に汗がみなぎり、疲れます。これからが本番なのに。ふー。

そして、ドクターの部屋に・・・。

今時珍しく非常に威厳のある、落ち着いた雰囲気のお医者様がデスクに座っています。。いかにも「ドクター」という感じで、ちょっと安心します。こういう「醸し出す雰囲気」って重要ですよね。

ベッドに横になります。看護師さんから、「よだれは遠慮なく、口元のタオルに出してくださいね」と一言。


ご覧のように通常の内視鏡に比べずいぶん細いのです。

【開始】

先生、立ち上がり厳かに宣言します。「それじゃ、始めます」

看護師さんが「先生、右よりも左が入りやすいようです。」

なぁるほど、さっきの綿棒、入れるときにちゃんと鼻の状態も見ているんだ。

で、鼻に入ってくる黒い色の内視鏡は太さが鉛筆程度。小学生のころふざけて鉛筆を鼻に入れて遊んだ経験を皆さんお持ちでしょうが、ホントにあの感覚です。でも、その遊びと違い、今日は奥の奥まで入っていくのです・・・。で、ここで数分間行ったり来たりを繰り返します。シューシューシューと激しい音をたてながら、鼻の中を移動するのはあまり良い気持ちではありません。黒い「赤ちゃん蛇」が鼻から入り込んでいくような感じです。

どうも、なかなか入らないのでは?と思いここで一気に焦りが出ます。「鼻はダメですねぇ、口に切り替えましょ!」と言われたら困る!

「神様!」

願いが通じたか、2、3分で鼻を通り抜けた感覚があります。すると、少し楽になりました。が、喉の部分を通過したとたん、

「ウゲー」

そう。あの恐れていた吐き気が起きます。
「吐き気がないなんてウソやーーーーーん」

再び

「ウゲー」

まただよ!!!!!!

そして

「ウゲゲゲー」

ところが、3度の嘔吐感のあとは
ウソのようにおさまります。つまり、内視鏡の先端が食道内に入り込んだようなのです。喉の奥を通過するときにたまたま舌の付け根の吐き気を催す部分に一時的に当たったことにより起きたことのようです。これが口からの内視鏡だともっとひどいことになりそうです。

でも、その瞬間ある事実に目覚めます。

吐き気はするけど、実際には何も吐かない。前日から検査のため胃袋が空っぽだから当然と言えば当然。でも、それでわかったんです。

「怖くない」

いままで自分が吐き気恐怖症だったのは、吐くことにより、服や部屋が汚れること、そしてその後の片づけなどの処置が非情に面倒であることなどが原因だったんです。このように実際に吐瀉物がなく、単に一時的(2〜3回程度)に吐き気がするだけというのは、もしかして「大丈夫かも・・・」そう思えてきました。

その瞬間、アドレナリンの放出がとまったのか、一気に落ち着いてきました。ありがたいことに、食道〜胃とカメラが移動する間、一切苦痛はありません。いやぁ、胃カメラって、入ってしまうと楽なんですねぇ・・・。その後、ばしゃばしゃと何枚も写真を撮るのがわかります。

で、すぐに今度は内視鏡を取り出し始めます。また、喉の奥に当たって吐き気かなぁと思うのですが、恐怖感はなくなりました。が、今度はそれも感じず、喉を通過。看護師さんが「あともう少しですよ」と言ってくださいます。その一言を聞くとホッとします。もっと早く言ってくれてもいいのだけれど・・・。

で、鼻から管が抜けた瞬間、先生、「はい、終わり。異常なし!運が悪かったね。しょうがないよね、検査でひっかかっちゃたものはね。でも、大丈夫。」

正味7〜8分程度だったでしょうか。そのくらいの長さの検査でした。

ドクターは「こういう検査は手早く確実にやることが大切。患者さんの負担を減らすためにもね」と日頃からおっしゃっている方だそうで、しかも、異常を見分ける技術がとても高いとこの分野でとても定評のある方だと知りました。いい先生に見てもらいました。

結局、私の場合、食道と気管の交差が影のようにたまたま一枚のX線写真に写ってしまったもののようです。そのドクター曰く。

「毎年の写真を何枚も見ていればね、異常なし!とすぐにわかるけれど、この1枚だけ見せられるとね、これはやっぱり内視鏡・・・となるよ」ということだそうで、「要精密検査」とした人間ドックのドクターも責めるわけにはいきません。貴重な体験をさせてもらったことに感謝せねばならないかもしれませんね。「若いね。内部は綺麗なもんだよ。大丈夫」とお墨付きもいただきました。

何よりも、最新技術の内視鏡、体験できたことを感謝しましょう。

正直に言います。「決して楽ではなかったよ。でも、口から入れるよりは多分ずっといいんでしょうね!」

これが感想です。そうそう、検査後、短時間で通常の生活に戻れるところも、口からの内視鏡との違いの一つです。

今回はちょっと毛色の変わったモノ・インプレションでした。

追記(2010年8月16日):
先日実家に帰省したら、なんとその日に母の胃がん検診結果で「要精密検査」という結果が返ってきました。
母は一気に落ち込みましたが、幸い、近所に経鼻内視鏡検診をしてくださる病院があり(江津市内に一カ所だけなんです!)、そこに電話をかけると診ていただけることに。翌日、検査を受けましたが、母もこのページを読んで気分が多少は楽になったらしく、抵抗感無く受診。結果はOKでした。そして母の一言、「楽ねぇ!全然気持ち悪くならなかったし、また受けたい!!」
先生の技術も素晴らしいでしょうし、機材も進化しているのでしょう。それにしても、市内で経鼻内視鏡を導入しているのはこの個人病院だけ。ドクターの患者への苦痛を少しでも減らそうという思いに感謝です。ちなみにその素敵なクリニックは「花田医院」と言います。花田先生、ありがとうございます!


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