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023 手軽にインターネットラジオ
Tangent Quattro MK2

2010年 3月27日

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台所とリビングの間のカウンターに乗っけています。コンパクト!
 



ラジオ好きの我が家、常に何かしらのラジオが鳴っています。学生時代から短波ラジオが定番です。が、ここ数年はネットラジオをBGMにすることも増えました。特に、数年前、SCITEC(サイテック)という会社のネットラジオ専用機、IR-001W をオークションで落札してからはステレオにつなぎ、ほぼ毎日、使っていました。

ところが、先日、突然電源が入らなくなってしまいました。毎日の酷使状態に疲れたのか、壊れてしまったのです。しかも、その壊れたのは、電源がONになっていたにもかかわらずKAY1が突然AC電源プラグを抜いてしまったことがきっかけ。彼女自身もネットラジオでイギリスの Classic FM を聴くのが大好きだったのでショックだったようで、責任を感じているようでした。

「うわぁ、壊した壊した!」とKAY2が騒ぎ、責め立てるのをじっと耐えている風情でしたが、しばらくして、「修理出してよ」。

そこで、SCITECの連絡先を調べてみると…。

いくら調べても連絡先などを記したホームページが出てこないのです。グーグル検索で関連情報を探してみると…「メーカー倒産」と bidders の「タニムラデンキ」サイトにありました。

これには困りました。電器製品を修理に出そうと思ったら会社がなくなっていたというのは初めての経験です。

こうなると仕方がありません。新しく購入することになります。生活が苦しい時にかぎって大切なものが壊れるジンクスのあるKAYSであります。

で、確か2万円以内で何社から出ていた…という記憶をたよりに探してみると、コンパクトなタイプの物は、多くが販売終了。ネットラジオって売れないんでしょうか?サイズが大きいのであれば、iPODドックつきの ASUS AIR3 という機種があります。このあたりが現在は売れ筋でしょうか…。ちょっと置き場所にこまるかなぁ。

でも、サイズ的にそれほど大きくないところで唯一、豊富な在庫を誇る機種がありました。Tangent というメーカーの Quattro MK2。デザインも悪くなく、評判も良いのですが、なんと定価が58、000円。これはしばし絶句です。楽天だけで調べても、もの凄い数の店が販売していますが、どちらも価格は5万円台。

なんでこんな値段?と思い、調べてみます。Tangent というのはヨーロッパ(デンマーク)のメーカーです。そこで、amazon.uk、つまりイギリスのアマゾンで調べてみるとこちらは170ポンド前後。つまり、日本円にして2万4千円程度です。ということは日本の価格は2.4倍!これは値段、高くしすぎ!!(代理店のポーカロラインさん、ぜひ、安くしてください!)

ただ、厳密にいえば、現在 amazon.uk で売られているのは型番に mk2 がつきません。無線LANのみの対応で、有線LAN端子のつかない製品のようです。

もともと無線LAN環境で聴いていた我が家ではこの機種で十分なわけで、これに12Vの電源アダプターを別に500円程度で買えば、立派に使えるはず…。と思うのですが(KAYSが参考にしたブログ「ナアンデジタールの森2.0」にも記してありました)、今回「ネットラジオが壊れた」という経験が一連の動きになっているわけで、この機種、個人輸入で買っても、いざ壊れて修理となったら面倒だなぁ…、その場合はやっぱり日本の代理店を通して購入した方がいいなぁと思います。でも、差額大きすぎ。

ということで、しばらくペンディング。情報収集を続けます。やがて、1万円台の新しいネットラジオが発売されているのを知るのですが、こちらはデザインも機能もそそられません。

また、ネットラジオというのは、ラジオのポータルサイトに依存しています。現在、KAYSがいつも聴いている放送を扱っているサイトは RECIVA.COM で、ネットラジオもこのサイト対応のものがありがたいのです。

そんなことを考えると、再び、Tangent Quattro MK2 が目の前をちらちらします。


【購入】
ネットラジオのない生活をしばらく続け、二人とも寂しい思いが日々募ります。ちょうどエコポイントの商品券が手つかずの状態になってました。これをチケットショップで現金化すれば…との苦しい決断。

結局、送料&税込み51、000円ほどのお店が楽天では最安。こちらで注文しちゃいました。今回は我が家の財務省が壊したことに罪悪感を感じたのか、比較的すんなりと出費を認めてくれました。ただし、わずかな商品券でもちろん全額はカバーできず。住宅ローンに追われる我が家。今後、古いラジオをオークションで処分するなりして、お金を捻出しなければならなくなりそうです。

待望のネットラジオ、数日で、届きました。


【印象】

箱から取り出してみると思ったよりもコンパクト。そして、製造は中国だと聞いていますが、全体の質感は悪くありません。つまみ類を動かしてみるとわずかに引っかかりがあったり(しばらく使うとスムーズになりました)、背面のプラグも抜き差しにやや抵抗を感じたりというあたりの作りは日本製ではあり得ないのでしょうが、とりたてて問題ではないので目をつぶります。

無線LANの暗証KEYを入力するとすぐにネットに接続、そして目指す放送を探しますが、このあたりの操作性は以前の SCITEC の製品と大きく違いがないので、付属の取説を読まなくとも進めます。

そして、実際に音が出てみると…。Classic FM でオーケストラの作品が流れています。

思った通りの印象でした。背面に穴が空いていることからバスレフで低音を増強しているようです。とはいえ、このサイズですから、そんなに強い低音が出るわけではありませんが、そこそこ響きます。また、高音はおとなしい。全体に丸い音作りです。いわゆるオーディオの高性能を謳う「高音も低音ばんばん出ますよぉ!」タイプの音作りではありません。悪く言えば少しこもったような地味な音作りです。

ところが、曲が終わり、アナウンサーの声になったとたん、耳を奪われてしまいます。人の声がとてもよく響くのです。つややかで、そして暖かみのある音。そうなんです。このラジオ、人の声をとても魅力的に響かせてくれます。そっか、人の声を中心に設計しているんだ!と気付きます。以前、ラジオが大好きだった今は亡き父親のために購入したアメリカの製品、チボリオーディオ(Tivoli)のラジオ「Model One」もそうでした。あのラジオは設計者がボストン交響楽団のラジオ中継をいい音で聴きたいと思って作ったということでしたが、それ以上に人の声の響きがとても豊かで感動したものです。

ただ、この機種、スピーカーグリルが上面にあります。これは賛否分かれるかもしれません。我が家ではキッチンとリビングを隔てたカウンターの上にのっけたので、リビングに居るKAY1もキッチンで料理をするKAY2もどちらも同時に音楽を楽しめるのでメリットです。一方で壁の前に置いて聞きたいという人には、少し不向きかもしれません。ただ、本体背面にダクトが開いているので、背面を壁につけるのは駄目。壁からはある程度の距離を保たないと音がこもってしまいます。そう考えれば、できれば、テーブルの上などに置くのがいいと思いますし、そうであれば、スピーカーが上部についているというのは理にかなっていることになります。

ラジオというのは人が語りかけてくるメディアです。それも Person to Person という感じで一対一のメディア。ですから、人の声は命とも言えます。その声を実に魅力的に、そして「また聴きたい」と思わせるラジオ。それはラジオの王道を行っていると言えるのではないでしょうか。そして部屋に溶け込む自然なデザイン。そのあたり、日本製のラジオはあまり重視してこなかったような印象があります。そろそろ日本のメーカーも設計思想を変えてくれないかなぁと思うのですが…。



上面のスピーカーグリル、そして背面にバスレフのダクト。音質は悪くありません。



【選局方法】

ところで、この機種は選局方法が数種類あります。もっとも簡単なのは本体全面にあるボタンのうち6つにプリセットを割り振ることができます。放送を聞いている最中に長押しするだけで登録できてしまいます。KAYSの場合、こうなっています。

1 Classic FM (UK)
2 BBC Radio 2 (UK)
3 BBC Radio 4 (UK)
4 CBC Radio 1 Montreal (CANADA)
5 CJAD Montreal (CANADA)
6 ありがとう浜村淳です(日本)

実に変な組み合わせです。特に最後が…(爆…、でもブログをお読みの方はご存じですよね。KAYSは浜村淳さんの話術に魅せられたファンです)。

で、RECIVA.COM のページをPCで開いて、お気に入りの局をリストに登録すれば、そのデータを Tangent Quattro MK2 は読み込んでくれて、フォルダーも含めたリストを表示してくれます。こちらには他のクラシック専門局(オーストラリアやカナダなど)、そしていろんな国の国際&国内放送などを自分で登録しています。

おかげで、タイ料理を作って食べるときには Luk-Thoung & Mhor Lum Radio で思いっきりタイののんびりしたポップスをかけ、パスタを茹でたときには Radio Naples でイタリアンポップスを…などなど、実に優雅なBGMマシーンとしても機能しています。

さて、ここで一つ。
その RECIVA.COM へは Tangent Quattro MK2 の製品登録をする必要があるのですが、慌て者のKAY2は一つだけ戸惑いました。同じようなおっちょこちょいな方はいらっしゃらないとは思いますが、念のため、ここで紹介しておきますね。

まず RECIVA.COM サイト自体に利用者登録をしていることが必要です。

その上で、RECIVA.COM の
https://radios.reciva.com/
に移動し、
Manage My Radios という所に入り込んで、そこに、購入したネットラジオの Registration Code を入れるのですが、その際、間違えて、ラジオのシリアルナンバーを入れてしまいました。すると、登録がうまくされません。実はシリアルナンバーではなく KEY を入れるのです。
CONFIGURE>REGISTER>KEY で表示される「********」8桁の番号を入れます。

これで登録されると、次回からは、何も入力を求められることなく、一発でアクセスできます。そして、Quattro 側でも
>My Stuff>My Stations> で、自分で作ったお気に入り局のフォルダーが表示されるようになり、本当に便利です。


【まとめ】

最後にまとめの意味で、Pros と Cons を。

<気に入った点>

・音質。全体に地味ですが、人の声は実に魅力的に響きます。特に海外のFMでプリエンファシスなどを使っている場合に顕著です。POPS系もつやのある音色で楽しめます。
 実は隣に音質の良いことで有名な(上記) Tiboli Model One を並べて聞き比べたのですが、Quattro MK2 に軍配があがりました。
 ただ、クラシック音楽などを「本格的に」楽しみたいとなると、やはりステレオなど他の機器につなぐことをお薦めします。外部端子やヘッドフォン大使でつなぐとオーケストラなども相当満足感の高い音になります。「こんなに音いいんだ!」と改めて驚きます。

・RECIVA.COM との連動は大変便利です。英語ですが、無料サイトですから、PCで登録して利用されることをぜひオススメします。

・操作性もそれほどわかりにくくなく(ほとんどが SELECT と BACK、TUNEで操作できる)合格点。

・コンパクトさ。部屋に置く際、威圧感もなく置き場に困りません。

・デザイン。奇をてらってなく、オーソドックスで悪くありません。しばらく使っているとなんだかいとおしくなってきます。二つのつまみが目に見えて。(笑)

<改善して欲しい点>

・値段。海外で売られている値段の倍というのは…。せめて4万円を切る値段で売ってもらえればと思います。

・FM放送の周波数がヨーロッパ仕様なので、日本ではほとんど役に立ちません。せめて、この周波数帯を変えていただければ。そうすれば価格差も少しは納得できるのですが…。(上記 Tivoli の Model One なども国内価格は米国での価格に比べ2倍近くしますが、こちらはラジオの周波数帯も日本仕様にちゃんと変えています)

・立ち上がりの時間が結構かかります。これはネットラジオの場合仕方がないのですが、以前使っていた SCITEC の機種よりもかかっている実感があります。

・液晶画面。2行はやっぱり情報が少ないかな…。3行あればもっと操作性が良くなるでしょう。

また、この機種、その魅力ゆえかブログなどに書く方も多いようで、とても参考になります。ちなみにKAYSが購入前に参考にしたのは次の2つのブログです。作者の方に大感謝です!

ゼロから始める海外衛星受信 (http://blog.goo.ne.jp/tvro_jp/)

ナアンデジタールの森2.0 (http://nd2.cocolog-nifty.com/)


<その他>

・上記ナアンデジタールの森2.0 にも書かれていることですが、時計、ちょっとユニークな機能が。AC電源を抜いた場合、次に電源を入れたら、最初に受信した放送の国に時刻が自動補正されるようです。ですから、AC電源をさして、スイッチをオンにして、最初にイギリスの Classic FM を聴けばイギリス時間に、浜村淳を聴けば日本時間になるという具合…。おせっかいな機能と言えなくもないですが…。

・上記にも書きましたが、食事の時のBGMとしてはきわめて秀逸なのが、その時のメニューに合わせた国の伝統ポップスの局を選局すること。一部繰り返しになりますが、我が家の場合、 一番良く聴く Classic FM などは本体にプリセットしていますが、それ以外は RECIVA.COM で以下を登録しています。

 フランス料理用:「Artistes disparus」「Nostalgie Chanson Francaise」(いずれもフランスのシャンソン専門放送局)
 イタリア料理用:「Radio Naples」(イタリアの伝統ポップス専門放送局)
 ギリシャ料理用:「AllGreek2Me」(ギリシャの伝統ポップス専門放送局)
 タイ料理用:「Luk-Thoung & Mhor Lum Radio」(タイの伝統ポップス専門放送局)
 インド料理用「Bollywood Classic Hits - RADIONRI」「1.FM: Bombay Beats India」(いずれもインドの映画音楽専門放送局)
 同世代の友達が遊びに来たとき:「181 FM Lite 80's」「1 Club FM: '80s Lite Hits」(いずれも80年代ポップス)「KLKL-FM」「KZQX-LP」(いずれも60年代ポップス専門放送局)

なんて感じです。

・YOUTUBE でこの製品をレビューしている動画がありました。英語ですが、体感的にわかりやすい動画だと思いますのでリンクしておきますね。
http://www.youtube.com/watch?v=eux-YVRyzh4
この方も紹介していますがイギリスBBCは過去1週間のほとんどの番組をオンディマンドで配信しています。それがこの機種でも簡単に聴くことができます。これはすばらしいですねぇ…。

・単体で聴くには人の声は魅力的に響きますが、クラシック音楽で大オーケストラ…となるとちょっと物足りない。そういう場合は本機をホーム・ステレオなどの本格オーディオにつないでみましょう。KAYSは以前このコーナーに書いたDENONのアンプ(PMA-1500MK2)とスピーカー(SC-T777SA-M)につないでみました。すると…その音質の良さに、正直、「おののき」ました!所詮、インターネットで圧縮のかかったデータ、それであっても結構いい音がするんです。音の良さで定評のあるドイツ、NDR Kultur というクラシック専門局がありますが、ちょうどブラームスの交響曲がかかっており、その音の良さに一瞬アンプにつないだCDが間違ってかかっているのかと勘違いしたほどです。もちろん、初めからビットレートの低い放送の場合はまったく駄目ですが…。


スピーカーの上に置くと Quattro MK2、なんだかロボットの顔みたいで、かわいいですねぇ。
でも、アンプを通して接続した下のDENONのスピーカーから出てくる音は「迫力」あります。



【後日談】

SCITEC のネットラジオ「IR-001W」、せめてACアダプターだけでも何かに使えるかなぁとテスターを取り出してチェックしたら…電圧ゼロ。「?!」もしかしてもしかして…。すぐに7.5Vに設定できるマルチACアダプターを用意して、本体につないだら…なんと復活!そうだったんです。本体は無事で、ACアダプターが壊れていただけだったんです。実にトホホな話。これ、KAY1には絶対内緒。ここだけの話ということにしておきましょう。うううーーん、家計には無駄な出費だったことになります。(-_-;)

悔し紛れに一言。IR-001W に比べれば、Quattro mk2、音質はかなりいいですから…。いい買い物だったということで…。 

ところで、その後、数週間使ってみて…

確か、「家に帰るとぼーずが待ってる」という、某アメリカ製スピーカーの広告に使われた名コピーがありましたが、「家に帰ると、Tangent Quattro MK2 が待っている」という気分なんです。とにかく家に帰ってスイッチをいれるのが待ち遠しい。事実、現在、家にいる間はずっとスイッチをいれっぱなしです。Classic FM が中心ですが、たまにはアメリカの 80's を流す曲にしたり、タイ料理を作った時はタイのポップスが流れる局にしたり、そして、ご飯を作る間は浜村淳。

壊れた方の機種はここまで使っていませんでした。一つは単体でも音がいい(前の機種は単体では音が良くなくオーディオ機器に接続していました。そうなると電源も二つを入れて、入力スイッチを切り替えて…と面倒でした)ということもあるでしょうし、そして、デザインもなかなか良く、完成度が高い作りです。なんだか愛おしさが出てきます。持っていることの幸せさ、楽しさをつくづく感じる機種です。KAYSがここ数年購入した電器製品の中で最も満足度の高い製品かもしれません。

ただし、一言だけご注意申し上げれば、RECIVA.COM やこの機種で使える他のポータルサイトがなくなってしまえば、この機械はただの箱になってしまう危険性がわずかですがあります。

ああ、それにしても…お願いです!ポーカロライン(代理店)さん、値段を下げて下さい!そしたら、爆発的に売れると思うのですが…。


居間では RF-2200か Tangent Quattro MK2 のどちらかが鳴っています。


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